アジアでもっとも苛酷と言われるブキティンギへの道

スマトラ島随一の観光地トバ湖は、島の北部に位置し、インドネシア第4の都市メダンからバスで5時間ほどかかります。世界最大のカルデラ湖トバ湖は、真ん中に島があり、TUKTUKという町にゲストハウスが多く建ち並んでいます。船を引っくり返したような屋根を持つ家々が特徴的です。何もすることがない島ですが、静かで、のんびりするには打ってつけ。インドネシア人の学生たちも旅行に来ますので、彼らと打ち解けられたら、おしゃべりするだけでも楽しい時間を過ごせます。観光客のほとんどは、このトバ湖止まりで、南下する旅行者は決して多くありません。というのも、その昔から、トバ湖と南部の高原リゾートブキティンギを結ぶ道が、アジアでもっとも苛酷な道のひとつと言われているからです。舗装されていない悪路ではありません。途中の山脈を超える道が険しいのです。

インドネシアはスマトラ島の高原リゾート、ブキティンギへ。アジア有数の悪路を取るか飛行機か? インドネシアはスマトラ島の高原リゾート、ブキティンギへ。アジア有数の悪路を取るか飛行機か?

トバ湖からブキティンギまでは16時間もかかる

午後、トバ湖を出発したバスは、すぐに山道に入ります。インド洋に面した町シボルガまではまだ大したことはありません。しかしその後また山道になります。道はUターンするほどのカーブが延々と続いていきます。しかも真夜中の真っ暗な道をバスは行きます。途中で休憩し、ホッとするのも束の間、またカーブの連続です。車内ではあちらこちらで「ウゲーッ!」と声にならない声が飛び交います。こうした状況が不味いのは、吐き気の連鎖を催すことです。急カーブ続きで、頭はグルグル回っています。まるで日本の日光のいろは坂状態が、何時間も続くのでした。さすがアジア屈指の悪路です。そしてフラフラになって翌朝の9時頃、ようやくブキティンギに到着すると、バスを降りて、その澄んだ清々しい空気に救われるのでした。標高は930メートル。ブキティンギとは、「高い丘」を意味しています。

今一つ高原リゾートが発展しないわけとは?

ブキティンギの町の周囲にはいくつかの渓谷があり、そんな場所でも田が広がっています。また昔から水牛を農耕に使用しており、伝統的な闘牛が行われています。ここでは水牛同士の戦いです。この地に暮らすミナンカバウ族とは、「水牛の戦いに勝った者」という意味で、かつてジャワ族の侵攻に、水牛の戦いに勝って退けたことからそう名付けられたそうです。渓谷は美しく、のどかな人々の暮らしぶりもいいです。ピーナッツの産地でもあり、おいしいお菓子が製造されています。旧日本軍の基地跡などもあります。ほぼ赤道直下でありながら、これほど涼しい町もめずらしいでしょう。それでいて、今一つ観光化が進まないのは、きっと悪路のせいですね。パダン空港からバスやタクシーで向かう人が多いようです。1時間半の距離で、バスなら200円ほど、タクシーなら2500円ほどです。あなたなら、楽な空路と話のネタになる悪路、どちらにしますか?