30年前に出合った衝撃の焼きそば!

今から30年前、タイのバンコクからマレー鉄道に乗ってマレーシアに向かいました。出発は午後3時頃。翌日の昼頃にはマレーシアのペナン島の対岸にあるバターワースに到着の予定です。二段ベッドの寝台列車は快適でした。マレーシア国境に到着したのは朝の7時頃。パスポートを持って列車を降りて、タイ側を出国、隣のマレーシア側で入国スタンプをもらい、列車の出発時刻までしばし待ちます。その時、売店の隣の小さな食堂で注文したのが焼きそばです。ほどなく真っ黒な焼きそばが運ばれ、「なんじゃ、これは?」とのけ反りました。さらに食べて2度目のビックリです。やや甘めの醤油味が、ふくよかで、しかも味に深みがあるのです。それまで焼きそばと言えば、ソース焼きそばしか知らなかった僕にとっては、衝撃的な味でした。シャッキシャキのもやしと具材はエビと赤貝! これも大好物でした。

福建麺(汁だく系) 福建麺(汁だく系)

福建麺の虜になった僕

ペナン島に行くと、国境で食べたのと同じ焼きそばがありました。これが福建麺というのだと初めて知りました。甘い醤油味は、カラメル入りの広東醤油を使っているからです(黒い福建麺)。ペナンにはほかにも赤い福建麺がありました。こちらは別名「蝦麺」と呼ばれる汁麺で、エビで出しを取ったピリ辛味です(赤い福建麺)。シンガポールにはあっさり塩味の焼きそば風のものがあり、クアラルンプールに行くと、汁だく焼きそば風のもの(黒い福建麺)があります。福建とは、中国の福建省のことです。この一帯はその昔から交易の盛んな土地柄です。それが「福建麺」をアジアに流通させたようです。そして日本の長崎にも「福建麺」が運ばれてきました。それが「長崎ちゃんぽん」だと言われています。横浜や神戸の中華街で出されるラーメンと一線を画すのは、長崎ちゃんぽんが、福建麺にルーツを持つからなのです。

福建麺にこれという定義はない?

福建麺は、土地によって実に様々です。細麺から太麺、平打ち麺、さらにはビーフン麺を混ぜて調理する店もあります。焼きそば風、汁だく焼きそば風、汁麺風と、日本で言う焼きそばとラーメンがごちゃ混ぜになってもいるのです。蝦麺の福建麺に欠かせないのはゆで卵ですが、僕の好みの福建麺では、赤貝をはじめエビやイカなど魚介類がなくてはなりません。豚肉が入ったのも多いです。野菜はモヤシを中心に青菜、キャベツ。シンガポールでは、卵を絡める店もあります。最後にライムをかけたり、辛み調味料のサンバルと混ぜたり、コリアンダーをかける店も多いです。ここまでマレーシアやシンガポールで浸透し、食べられている福建麺ですが、日本では、まだまだ知られていません。マレーシアあるいはシンガポールにお出かけのみなさん、福建麺は絶対必ず食べてください。焼きそばの概念が変わります。