町に響くアザーンの調べ

以前、インドネシアのジャワ島のソロという町で、たまたま出会ったひとり旅の女子大生と立ち話をしていた時に、アザーンが聞こえてきました。するとその女子大生は、「あ、またあの宣伝だ。この島を旅していると、毎日あの宣伝の声が聞こえてくるんですよ」と言いました。「いかにもイスラム」という感じではないインドネシアだから気づかなかったのでしょうが、それはスピーカーから流れる宣伝文句ではありません。1日5回あるイスラム教徒の礼拝の時間を知らせる、呼びかけの言葉「アザーン」なのです。

イスラム教の礼拝の呼びかけ「アザーン」とは イスラム教の礼拝の呼びかけ「アザーン」とは

「コーラン」と「アザーン」の違いは?

これを「コーラン」と言う人がいますが、同じではありません。「コーラン」はイスラム教の教典で、キリスト教で言えば「聖書」に値するものです。「アザーン」は、人々がモスクに礼拝に来るようにと呼びかける文句で、内容は「アラーは偉大なり。アラーのほかに神はなし。ムハンマドは神の使徒。礼拝に来たれ」という文です。アザーンは、決まった文句や回数(宗派や地方によって多少違いますが)を繰り返しますが、国が変わってもアラビア語で唱えられるのです。

アザーンから始まったミナレットの歴史

このアザーン。昔は電気などなかったので、もちろん人が肉声で呼びかけていました。そして呼びかけるなら高いところがいいだろうということで、モスクの脇に高いミナレット(尖塔)を造り、そこから呼びかけを行いました。ミナレットはのちにどんどん巨大化し、なかには「そんな高いとこから呼びかけても聞こえないだろう」というほど高くなったものもあります。現在では、たいていミナレットにはスピーカーが取り付けられ、時に朝暗いうちから大音量で町に響き渡ります。ホテルの部屋がモスクのすぐそばで、このアザーンの音の大きさに目が覚めてしまったということは、イスラム教国ではよくあること。現地の人にとっては時計代わりで、気にならないのかもしれませんが。

イスラム圏ならではのアザーンを告げる時計

「時計代わり」という話が出たついでに書くと、イスラム教国やイスラム教徒が多い地域では、「アザーン時計」なるものが売られています。これはたいていモスク風の外観になっていて、礼拝の時間になると目覚まし音ならぬ録音されたアザーン音が聞こえてくるという時計です。イスラム教圏に行った時、時計売り場で探してみると面白いかもしれませんよ。