- ナイト‘Iyah’彩子
- 在キングストン12年。96年レコードバイヤーとして単身渡ジャマ。アーティストのインタビューやジャマイカ情報の寄稿、音楽・TVのコーディネーター、通訳、バイヤー。自宅スタジオで趣味半分の音楽作り。ジャマイカの自然、食、音楽、人、言葉を愛してやまない2児の母。パトワ語で夢を見るようになった今日この頃。
出発エリアをに変更しました。
コンテンポラリーな作品も。ジャマイカのお札の前で歌う‘Money-O!’!?
キングストンの地形は分かりやすい。海の方へ向かえばダウンタウンがあり、山のほうへ向かって登ればアップタウンと呼ばれるエリアがある。海沿いにはマーケットや商店が広がる、いかにも「キングストンのダウンタウン」というイメージにぴったりのエリアもあるけれど、実は大きなビルが並ぶビジネスエリアもある。海が目の前というだけあって、いつも海風が吹いているオーシャンブルバード沿いにあるナショナルギャラリーを今回はご紹介しようと思う。
館内の様子。1階にはお土産ショップもあり、ジャマイカに関するアートや歴史の本も置かれてる
ナショナルギャラリーは1974年にジャマイカで最も有名なグレートハウスであるデヴォンハウスに設立されたのが始まり。その後1983年現在のキングストンモールのなかへ移り、カリブの英語圏の国のなかで最大規模のギャラリーとして再開した。ナショナルギャラリーは2,000以上の作品を常時展示しているそうで、西インド諸島諸国で絶滅したタイノー族の作品からスペイン、イギリスの植民地時代の作品、そしてジャマイカ人アーティストの先駆者から今日に至るコンテンポラリーアーティストまで、そのアートの種類もまた多様。このギャラリーを一周すれば、作品の数々にジャマイカの「ライフ」を見出し感じられるのでは。ジャマイカの田舎の風景から都会で仕事をする人々の様子、ジャマイカ人の宗教的理念や歴史、社会的批判から彼らの幻想や伝統や伝承など、ジャマイカを知るに足るアートに触れることができるだろう。
ジャマイカでは昔、クリスマスイブになるとこの獅子頭ならぬ‘牛頭’をかぶった人たちが家々を踊りながら訪れるジャンカヌーというお祭りがあった。実はこれ本物の牛の頭をペイントしたもの!
ギャラリーには、ジャマイカを代表するアーティストであるマリカ‘カポ’レイノルズやエドナ・マンレー、ジョン・ダンクリー、アルバート・ヒューイなどのコレクションも置かれている。期間限定の展覧会もひんぱんに行われているので行く前にサイトをチェックしてみては。ちなみに先日、私はこのギャラリーで「奴隷制度廃止200年、奴隷解放とアート」という展覧会を観てきた。奴隷時代当時の、一見平和に見える穏やかで美しい田舎の様子が描かれた絵もあれば、奴隷の足や首につけられていた鎖や錠、実際の奴隷売買の広告ちらしなども展示されていて「ジャマイカにとって奴隷時代の本当の歴史を知ってこそ、アイデンティティーが確立されて精神解放される」というメッセージそのままのリアルな展示だった。(この展覧会は2008年4月12日まで)
ナショナルギャラリーの館外にあるサイン
ナショナルギャラリーへは、キングストンのアップタウンの中心地からだと車で約20分くらいで行ける。ダウンタウン観光を兼ねて、ぜひ立ち寄ってみては。館内にあるギフトショップには展示されてる作品のポストカードやジャマイカに関する文献も置かれていてる。現在コーヒーショップも建設中なので、観覧の合間に一息入れることもできるようになる。ひとたび館内に入ればダウンタウンの喧騒とは打って変わった静けさのなかで、ジャマイカンアートを通してジャマイカのルーツアンドカルチャーに触れることができるはずだ。
ナショナルギャラリーがある海に面したオーシャンブルバード
■ National Gallery Of Jamaica
12OCEAN BLVD.KINGSTON MALL,KINGSTON,JAMAICA
876(922)2561 876(922)8540
http://www.galleryjamaica.com/
火〜木 10:00am〜4:30pm、金 10:00am〜4:00pm、土 10:00am〜3:00pm、日・月:休館日
入館料:J$50(学生と65歳以上)、J$100(大人)
※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2008/03/14)
※旅行前には必ず、外務省の海外安全ホームページで訪問地の安全情報についてご確認ください。
※この記事はガイドレポーターの取材によって提供された主観に基づくものであり、記事は取材時時点の情報です。
提供情報の真実性、合法性、安全性などについては、ご自身の責任において事前に確認して利用してください。
エイビーマガジンについて