起源の古い舞踊「バラタナティヤム」

インド四大舞踊の中でも一番古いと言われているのがバラタナティヤム。インド亜大陸の南端タミル・ナードゥ州の舞踊です。もともとはヒンドゥー寺院に仕えていた巫女たちによる奉納舞。全盛期と言われる中世時代には、数百人もの巫女を抱える寺院もあったことが記録に残っています。現在では、かつての奉納舞をベースに舞台芸術として確立され、女性だけでなく男性のダンサーもいます。2013年12月に天皇・皇后両陛下がチェンナイを訪問された際には、バラタナティヤムで有名な芸術学校「カラークシェトラ」も訪問されました。

時にはインドでクラシカル・ダンスを!インド四大舞踊入門 その2「バラタナティヤム」 時にはインドでクラシカル・ダンスを!インド四大舞踊入門 その2「バラタナティヤム」

伴奏は南インドの古典音楽

このバラタナティヤムは、カルナータカ音楽と呼ばれる南インド古典音楽に合わせて踊ります。舞台には右手に「踊るシヴァ神」の像が置かれ、左手には音楽を演奏するミュージシャンが座っています。ステップに合わせた細かなリズムをリードする小型のシンバルに歌手、ムリダンガムと呼ばれる両面太鼓やバイオリン・竹笛といった編成が一般的です。しっとりした曲から激しい曲まで様々な曲が演奏されます。

アスリート並の運動量が必要?

バラタナティヤムの構成要素は大きく二つ。身体表現と感情・ストーリー表現とに分かれます。前者は「ショルカットゥ」と呼ばれるリズム言葉とムリダンガムが織り成す小気味の良いリズムに合わせ、力強いステップを踏んで身体全体で表現します。その激しい動きを見るとインド舞踊の中でも一番運動量が必要だと言われているのもうなずけます。後者は「ムドラー」と呼ばれる、手のひらや指先を使った「印」や顔の表情を巧みに使いストーリーを表現する部分。ムドラーにはそれぞれ意味があり、言うならば手話のようなもので「シヴァ神」や「蓮」「鹿」など様々なものを表します。こういったムドラーを覚えて観ていくとストーリーがより身近に感じられます。

プリーツが美しいバラタナティヤムの衣装

女性の衣装は一枚のサリーから作られます。もちろん既製のものではなく、仕立屋で細かく採寸するハンドメイド。腰を落として膝を180度外側に開く基本ポーズの際には腰から両膝に縫い付けたプリーヅが美しく広がるようになっています。頭や額には豪華なアクセサリーをたくさんつけ、足首には小さな鈴がたくさんついた「サーランガイ」と呼ばれるバンドを巻きつけます。メイクは目に黒く縁取りをして目立たせ、手と足の先などを赤く塗ります。こうするとムドラーを使っての感情表現も、より際立って見えるようになります。