犬も歩けばミシンにあたる?

熱帯の国々ではその気候のため、路上を含めた屋外が日常生活の場として活用されています。そのため、通りすがりの旅行者でも散歩をするだけで、炊事・洗濯から家族の団らんや昼寝に至るまで、市井の人々の生活を垣間見ることができます。筆者も旅先ではいつもぶらぶらと散歩をしていますが、インドでは他のどの国にもまして、ミシンを目にする機会が多いことに驚かされます。

昔懐かしの足踏みミシンがまだまだ現役のインド! 昔懐かしの足踏みミシンがまだまだ現役のインド!

仕立て屋の数だけミシンがある

日本では電動のミシンすらあまり見なくなりましたが、インドで目にするミシンはみな足踏みミシン。大都市から小さな村まで至るところに仕立て屋があり、人々は自分で生地を買ってきては採寸してもらい、クルタと呼ばれる男性用のシャツやサリーの下に着るブラウスを作ります。仕立て屋は年季の入ったミシンで、採寸した寸法に合わせて生地を切り、服を仕上げていくのです。

インドならではの足踏みミシンのメリット!

足踏みミシンはどれも、日本の中学校の教室にあるような机とほぼ同じぐらいの大きさで、上にミシンが据え付けられています。足下には踏板があり、踏板を踏んだ力が机の上のミシンに伝わり、針が上下して布を縫い付けます。よくよく考えると、いまだに停電が多いインド。電動ミシンでは、停電すると仕事ができなくなりますが、足踏みミシンだと停電に煩わされることもありません。実に理にかなっているといえます。

菩提樹の下の足踏みミシン

筆者がチェンナイで住んでいた部屋のすぐ近所に閑静な住宅街がありました。お店などもあまりない場所で、学校が一つあるだけで普段は閑散としています。学校の向かいには、大きな菩提樹の下で足踏みミシンを出し、仕事にいそしむおじさんがいました。彼は仕立ては行わず、服のほつれやボタンの付け直しなど修繕専門。仕立てをしない上に、こんな場所では仕事になるのかと不思議に思いましたが、意外なことにいつも繁盛していました。

ミシン一つで商売ができる身軽さ!

おじさんに話を聞くと、学校の制服に校章を縫い付けたり、教科書を入れるカバンの修理など実は色々仕事があるとのこと。学校の前で商売をすることで、学校関連の修繕を独占していたのでした。お客さんが来るのを待つのではなく、お客さんがいる所に店を構えたわけです。ミシン一つでできる商売だからこそだなと感心してしまいますね(笑)