アジアの犬は自由だ! 夜毎、犬の集会がある!

アジアを旅していると、鎖につながれていない自由な犬たちに出合います。人は人、犬は犬と、お互いにさほど交わることなく、かと言って無視するでもなく、適度に意識し合いながら生きています。日本ではペットのはずの犬たちも、東南アジアやインドに行くと、「犬」という存在感が際立っています。例えばインドネシアのバリ島のクタビーチでは、日暮れ時になると、どこからともなく犬たちが集まってきます。小競り合いをしていた犬も、リーダーらしき体の立派な目付きのしっかりとした犬が出てきて、「ワン!」と一声吠えただけで大人しくなります。僕は、こんな光景を眺めては、いいなあと面白がったりしているのです。

アジアの自由な犬たちの中には、狂犬病の犬がいることもある アジアの自由な犬たちの中には、狂犬病の犬がいることもある

初めて自由な犬たちの世界を垣間見た時のこと

僕はかつてインド西部のゴアのアンジェナビーチで、露天商をしていたことがあります。店じまいするのは夕方で、それから現地インド人のレストランで食事して、ビーチ沿いに、2キロの道のりを歩いて借家まで帰ります。明かりは月と星しかないようなところです。海岸近くにはヤシ林が植えられています。僕は、いつも手には棒を持ち、ポケットには小石を忍ばせていました。家の近くまで来ると、集会をしていた犬たちが、遠吠えを始めます。「ワオーン!」。その響きは気味が悪いものでした。ガサッ、ガサッと犬の足音が聞こえます。僕はその時犬を飼っていました。襲われたら嫌だなあと思っていると、必ずその犬が迎えに現れます。メス犬なので、オス犬どもも手出しはしません。

強暴な犬が現れ、一触即発!

ある夜のことです。僕の前に、強暴そうな犬が口を開け、よだれを垂らして現れました。メス犬が僕を警護しているにもかかわらずです。月夜であたりは結構明るかった記憶があります。ほかの犬たちも集まってきました。犬たちが、その犬に向かって一斉に吠えはじめました。僕は左手に棒を持ちかえて、石を投げます。しかしその犬は一向にひるまず、犬たちの乱闘が始まりました。その間隙を突いて、僕はメス犬と家に戻ったのですが、村では大変なことになっていました。

狂犬病の犬の行動は、文字どおり狂暴だった!

翌日、馴染のレストランでは、現地の人たちが深刻な面持ちで話し合っていました。狂犬病が流行っているというのです。狂犬病の犬は、石を投げても棒で叩いても向かってくるのが特徴で、この日から鉄砲による狂犬病狩りが始まったのです。僕を襲おうとしたあの犬も、狂犬病だったと初めて知りました。あの時、村の犬は、半減したと思います。僕の犬は大丈夫でした。みなさんもアジアを旅する場合には、とくに犬には気をつけてください。そして犬に噛まれたら、迷わず病院に直行してください。アジアではいまだ狂犬病が多く報告されているのです、世界では年間5万人、インドでは2万人もの人が、狂犬病で亡くなっています。