セリフのない舞踊劇「カタカリ」

カタカリは南インドのケーララ州で17世紀頃確立したといわれる舞踊劇。「ラーマーヤナ」や「マハーバーラタ」などのヒンドゥー叙事詩を題材に、ヒンドゥー寺院で男性のみによって演じられてきました。踊り手はセリフをしゃべることはなく、手や指先によるジェスチャーや頬や眉の動きなど顔全体の表情で物語を表現していきます。「カタック」や「バラタナティヤム」などとは異なり、踊り手は身体表現を行うことはなく、いわば芝居の役者のように物語を演じていきます。

時にはインドでクラシカル・ダンスを!インド四大舞踊入門 その3「カタカリ」 時にはインドでクラシカル・ダンスを!インド四大舞踊入門 その3「カタカリ」

歌舞伎よりも派手なメイクにインパクト大!

このカタカリはインド四大舞踊の中でも一番ビジュアル的にインパクトが強いと言えるでしょう。歌舞伎の隈取りをさらに派手にしたような強烈なメイクと踊り手が頭にかぶる派手な冠、そして大きく広がったスカートにまずは驚くでしょう。カタカリのメイクには主に5種類あり、その色によって基本的な役柄が識別できます。例えば緑色の顔の人は高貴な英雄的人物、肌色の人は女形や仙人を表します。カタカリの楽団には必ず専門の化粧師がいて、メイクを仕上げ、衣装を着けて舞台に上がるまでに数時間はかかります。

二人の歌手が歌って物語を進行

カタカリでは、舞台中央後方に立つ二人の歌い手が歌うことによって物語が進行していきます。左手にはチェンダとマーダラムと呼ばれる二つの打楽器奏者。チェンダは円筒形の太鼓を縦にして首から下げ、二本の細い木のバチで叩きます。マーダラムは横長の両面太鼓で、打楽器奏者はストーリーに合わせて粛々と、時に盛り上げるように自在にリズムを刻んでいきます。

夜を徹してヒンドゥー寺院で演じられる

カタカリは通常、ヒンドゥー寺院でのお祭りの際に何日にもわたり夜を徹して上演されます。短い演目でも三時間を切ることはないと言われますが、観光地ではツーリスト向けに短くした演目をみせてくれます。もし時間が許すのならば、お祭りの日に現地の人に混じってカタカリを観ながら朝を迎えるのはいかがでしょうか?ヒンドゥー寺院で熱帯の夜風に吹かれながら、異形の役者が繰り広げる濃密な物語を目の当たりにするのは、きっと忘れられない体験になるでしょう。