インドのはじに残る木造建築

優れた建築物が多数存在する‘建築の国’インド。タージ・マハルや数々の城塞、遺跡などを見てもわかるように、そうした建築物は石造りのものが大多数を占めています。神谷武夫著『インド建築案内』(TOTO出版、2003年)によると、古代インドは今よりも木材が豊富で、木造建築が主流だったそうです。しかし、次第に乾燥化が進んで木材が不足するようになりました。そのため中世以後のインド建築は、石造建築が主流になったのだそうです。そんなインドすが、北部や西部、南部には、木造建築文化圏が残っている場所があります。今回はタミルナードゥ州の南部にある壮麗な木造宮殿、パドマナーバプラム宮殿をご紹介します。

南インドに残る木造宮殿建築、パドマナーバプラム宮殿への行き方 南インドに残る木造宮殿建築、パドマナーバプラム宮殿への行き方

ほぼ完全な形で残された稀有な宮殿

パドマナーバプラム宮殿は、18世紀にトラヴァンコール藩王国の王が建てたケララスタイルの建築。当時のものがほぼ完全な形で残された珍しい宮殿で、西ガーツ山脈で産出されるチーク材を使った部屋が複雑につながっています。部屋は薄暗くて風通しよく造られ、暑いこの土地の気候によく合っています。また、いくつかの部屋には梁や天井にすばらしい木彫りの彫刻が施されています。このような木造建築はケララ州の各地で見られますが、ここほど見事に残された場所は珍しく、「ケララ伝統様式の建築では最もすばらしいもの」とされています。ただし、全体的に受ける印象は「豪華」というよりも「シンプル」という感じで、各部屋は小ぢんまりしていて快適に住めそうな感じです。

ちょっと行きにくい場所にある

このように興味深いパドマナーバプラム宮殿、行こうと思っても、公共交通機関ではちょっと面倒です。車ならば、タミルナードゥ州のカニャークマリから34km、ケララ州の州都トリバンドラムから約52kmを運転手任せで走るだけなので簡単。カニャークマリからバスなどで行く場合には、まずは17km北東の町ナガルコイルへ行き、そこから15kmのタッカレーへ向かうバスに乗り換えます。タッカレーのバスターミナルで下車すると、そこから宮殿へは約2km。バスもありますが、オートリキシャをチャーターして行くのが早いです。なお、カニャークマリとトリバンドラムを結ぶバスがタッカレーを通るという情報もありますが、私が訪れたときはそういうバスはありませんでした。

現地ツアーや直通バスもある

このほか、カニャークマリからは、早朝と昼に便利な宮殿直通バスも出ています。宮殿のオープン時間に合わせて到着でき便利ですが、途中のナガルコイルで長時間停車することがあるので要注意。所要約2時間。出発時間はカニャークマリの観光案内所やバスターミナルで教えてくれます。また、トリバンドラムからはKTDC(ケララ州観光開発公団)が主催する日帰りツアーが出ており、付近の寺院やカニャークマリと合わせて見学が可能です。ケララ州で観光やアーユルヴェーダを楽しんだあと、1日余った日を有効に使いたい、などという場合におすすめです。