南太平洋にふたつある“サモア”。その東半分は…

南太平洋のポリネシアにあるサモア諸島ですが、これが「国」となると実はひとつではありません。日本でふつう「サモア」というと「サモア独立国」のことを指しますが、これはサモア諸島の西半分にすぎず。その東半分は「アメリカ領サモア」となります。西半分は植民地時代にドイツ領→ニュージーランド領→国連信託統治領という変遷を経て独立したのですが、東半分は最初からアメリカ領にとどまっていました。太平洋では、同じくアメリカ領から州に昇格したハワイがありますが、サモアは今も“準州”扱いです。現在、アメリカの準州は海外領土の5つのみで、グアム、北マリアナ諸島、プエルトリコ、アメリカ領ヴァージン諸島、そしてこのアメリカ領サモアになります。政治でいえば「自治政府」といった感じでしょうか。

南太平洋の島々の中でもあまり知られていない「アメリカ領サモア」(前編) 南太平洋の島々の中でもあまり知られていない「アメリカ領サモア」(前編)

では、アメリカ領サモアはどんなところ?

アメリカ領サモアは、主島をツツイラ島(トゥトゥイラ島)とする、おもに7つの島からなります。すべての島を集めた国土面積は日本の石垣島よりも少し小さいぐらい。人口は約7万人と、規模はサモア独立国に比べると半分以下。首都はツツイラ島にあるパゴパゴで、ここに1万人が住んでいます。都市といえるのもこのパゴパゴぐらいですね。この島の経済は、アメリカ本土に依存したものです。そのため、ここから多くの島民がアメリカ本土へ出稼ぎに行っているとか。島の人口より、島の外に住んでいるサモア人の方が多いとも言われています。アメリカ国民である特権を生かしてアメリカ本土で働けるのは、他のポリネシアの国の人にはない利点です。そのため、アメリカ領サモアは逆に人出が足りなくなり、隣のサモア独立国から出稼ぎに来る人々も少なくないといいます。

“観光”よりも“ビジネス”で来る人が多い

さて、このアメリカ領サモア。海の透明度は高いのですが、観光開発はあまり進んでいません。というのも、アメリカ本土やハワイ向けの仕事がそれなりにあるからです。たとえばツナ缶の工場では、アメリカのツナ缶の1/5をここで作っています。また労働人口の1/3は、アメリカ政府の関連施設で働いているといいます。なのでやってくる外国人もビジネス客が中心。もちろんそうした人たちもオフの時があるので、島巡りツアーもありますし、ダイビングなどのマリンスポーツのショップもあります。また国立公園のトレッキングなどもできます。とはいえ、ここではのんびり過ごすほかないようです。(後編につづく)