創業は室町時代。歴史あるホテル

オーストリア、インスブルックには古いホテルが現役で営業しています。ホテルというより、旅籠屋といったほうがいいかもしれません。名前を「ヴァイセス・クロイツ」といいます。創業は、なんと1465年。日本では室町時代にあたります。この古いホテルは、インスブルックのシンボル、黄金の小屋根のすぐ近くにあります。また、ここは少年時代のモーツァルトが父親と一緒に泊まったことでも知られています。それが、1769年ですので、当時でも「ヴァイセス・クロイツ」は、十分古いホテルだったのでしょう。もちろん綺麗に修繕、また清掃がなされていて、今も古きよきインスブルックの面影が残っています。

モーツァルトも泊まった、インスブルックのオールドホテル「ヴァイセス・クロイツ」 モーツァルトも泊まった、インスブルックのオールドホテル「ヴァイセス・クロイツ」

創業時から、ずっと庶民派です

私もここに泊まったことがあります。間口も狭く、チェックイン・カウンターも机ひとつの簡素なもの。古い木造なので、歩くとギシギシという音がします。山小屋をイメージしていただくといいと思います。創業時から、ずっと庶民派のホテルですから、置いてある調度もけっしてゴージャスではないのですが、味があるもので歴史を感じます。私はとても気に入りました。ですが、部屋自体は大改装をしているわけではないので、現代の旅行者にふさわしいか、といえばそうではないかもしれません。当たり前ですが、防音設備などもありませんし、壁自体も薄いのです。隣の部屋から、歯磨きの音が聞こえるといっても大げさはありません。

防音設備はないので、隣の音が気にならない方に

チェックアウトのとき、ホテルのスタッフに「これは何と書いてあるのですか?」と小さなメモを渡されました。そこには、日本語でびっちりと「隣の部屋のテレビがうるさい。壁からテレビを離せ」などと、アドバイスともクレームともいえることが書かれてありました。直接スタッフに言えばいいのに、とは思ったものの、きっとできなかったのでしょう。私は「テレビの音がうるさかったらしいよ」と言うにとどめました。「ヴァイセス・クロイツ」は、山小屋のノリで隣人の生活音が許せて、歴史好きな方におすすめのホテルです。併設レストランもありますので、宿泊は他のホテルにして、食事はこのホテルに来るという方法もいいかもしれませんね。