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海外現地発ガイド通信

ウィーン分離派会館(セセッション)の魅力


掲載日:2019/10/22 テーマ:美術館・博物館 行き先: オーストリア / ウィーン

タグ: 建築 珍しい 名画


クリムトが描いた長さ34メートルのフリーズ

ウィーン分離派会館地下にあるベートーヴェン・フリーズの2番目の壁「敵対する勢力」 ウィーン分離派会館地下にあるベートーヴェン・フリーズの2番目の壁「敵対する勢力」

2019年は日本とオーストリアの修好150周年記念にあたるため、春先から色々な特別展が開催されている。先陣を切って4月から7月まで開催された東京都美術館の「クリムト展」では、クリムトの代表的作品「ユーディット」やクリムトの別荘があったアッター湖畔の風景画、その他多数のスケッチ画などが展示されてクリムトファンを楽しませた。その中に、クリムトが1901年に制作した「ベートーヴェン・フリーズ」という長さ34メートルに及ぶ壁画の複製があった。大掛かりな企画に驚いた人も多いと思う。この絵はウィーンのセセッション(分離派会館)という建物の中の一室にあり、壁画なのでオリジナルを運ぶことはできず、複製で展示された。クリムト的なタッチではあるが、やせ細った数人の裸婦やゴリラのような怪物、裸で抱き合う男女などが描かれ、初めて目にする人は、大変風変わりなこの作品に戸惑いを感じたであろう。

古い芸術家団体から分離して新たな芸術家協会を設立

ウィーン分離派会館地下にあるオリジナルのベートーヴェン・フリーズ ウィーン分離派会館地下にあるオリジナルのベートーヴェン・フリーズ

この絵のオリジナルがある分離派会館とは一体何であるのか。これはウィーンの中心部にある展示会場のこと。地下鉄1号線、2号線、4号線が交差するカールスプラッツ駅の地上に出ると直ぐに見える。19世紀末のウィーンでは、展覧会はクンストラーハウスという芸術家協会が牛耳っていた。クリムトら若手芸術家たちもここに所属していたが、保守的なクンストラーハウスから分離して新しい芸術を展示するための開場を建設した。それが分離派会館であり、この建物は分離を意味するゼツェッシオン、あるいは英語読みでセセッションと呼ばれている。現代美術の展示会場だが、常設展示物として地下にベートーヴェン・フリーズがある。一室に納められた一連の絵は、出入口のある部分を除いて3方の壁の上方に描かれている。かなり大きく描かれているが高い位置にあるので、細部は見えにくい。東京都美術館では、天井が低いために分離派会館よりも低い位置に展示されたことで鑑賞しやすかったかもしれない。

建物自体が素晴らしい芸術作品

通りを隔てて眺めると建物全体が良く見える 通りを隔てて眺めると建物全体が良く見える

この作品は作曲家ベートーヴェンをテーマにした作品展のために描かれたもので、クリムトが交響曲第9番を視覚的に表現した作品になっている。ベートーヴェンの音楽やこの絵の解説は専門家に任せるとして、ウィーンへ来たなら一度は分離派会館へ寄り、オリジナルのベートーヴェン・フリーズを鑑賞してみよう。小ぢんまりとした建物だが、1階では広々とした贅沢な空間の中に最先端の現代美術が展示されている。ベートーヴェン・フリーズもさることながら、ここは建物を見る価値がある。ウィーンのアール・ヌーヴォーを代表する白亜の館で、頭にはオリーヴの葉を象った黄金の球が乗っている。出来上がった当時、ウィーン市民はこれを“黄金のキャベツ”と冷やかした。確かにキャベツのようにも見える。入口の上部には「時代には芸術を、芸術には自由を」という言葉が浮き彫り文字になっている。クリムトらが掲げたモットーだ。正面ファサードや横の壁に様々なレリーフや模様が施され、ずっと眺めていても見飽きない。

分離派会館のミュージアムショップは見逃せない

大胆な渦巻き模様の植木鉢が正面に2つ、対になって置かれている 大胆な渦巻き模様の植木鉢が正面に2つ、対になって置かれている

どこの博物館でもミュージアムショップには個性的な品が揃っているが、分離派会館はとりわけユニークだ。ベートーヴェン・フリーズに描かれている一部が手提げになったりスカーフになったり、あるいは分離派に所属したデザイナーなどの作品がマグカップになっている。アート系の人にはたまらない小物がたくさんある。極めて面白い、と思ったのは、正面入り口脇に2つ置かれた植木鉢のミニチュア版だ。この植木鉢は紺とゴールドのモザイク模様が施され、単純な渦巻きを描いているのだが実にアール・ヌーヴォーっぽい。植木鉢の下には鉢を支える4匹の亀がいる。この健気な亀もミュージアムショップに並んでいる。絹のスカーフは大きさによって70〜140ユーロほどするが、マグカップは10ユーロほど、植木鉢や亀は40〜50ユーロほどだ。自分のためのウィーン土産に、どれかひとつ買って帰りたい。

データ

ベートーヴェン・フリーズ3番目の壁に描かれている、合唱する乙女たちをモチーフにした絹のスカーフ ベートーヴェン・フリーズ3番目の壁に描かれている、合唱する乙女たちをモチーフにした絹のスカーフ

ウィーン分離派会館(セセッション)
Wiener Secession
住所:Friedrichstrasse 12  1010 Wien
Tel. +43/1/587 53 07
開館時間:火曜から日曜の10時から18時
休館日:月曜
交通:地下鉄1号線、2号線、4号線のカールスプラッツKarlsplatz
入館料:9.50ユーロ

 

※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2019/10/22)
※旅行前には必ず、外務省の海外安全ホームページで訪問地の安全情報についてご確認ください。
※この記事はガイドレポーターの取材によって提供された主観に基づくものであり、記事は取材時時点の情報です。
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