「フランダースの犬」で出てくるあの教会

「フランダースの犬」というアニメをご存知ですか。1975年に放送され、一躍日本人の心に感動を与えました。その後、1992年にもリメイク版が放送されたので、目にした方も多いのではないでしょうか。舞台は、ベルギー北のアントワープ近くの村。そこに住む少年ネオと、彼に拾われ、彼と常に連れそう愛犬パトラッシュの物語です。少年がずっと見たいと思っていた教会の絵の前で、息を引き取るシーンは皆の目に焼きついているのではないでしょうか。そんな感動的な物語も、現地ではあまり知られていなかったそうで、銅像が建てられ今では知る人も増えたそうです。

ネロ少年が「見たい」と思い続けた絵画がある教会はどこ? ネロ少年が「見たい」と思い続けた絵画がある教会はどこ?

見たがった祭壇画は、本当に大きかった!

ベルギーを旅行した際、ネロ少年が見たがった絵を、私も訪ねることにしました。その絵が収められているのは、アントワープ市にある、ノートルダム大聖堂です。13世紀半ばから180年ほどかけて建てられたこの教会は、町の中でもひときわ目立つ存在。教会に入ると、光が差し込んでステンドグラスの連作がとてもきれいでした。フランドルの画家ピーテル・パウル・ルーベンスの貴重な作品群が所蔵されています。彼の三連祭壇画は4mサイズの巨大な画面で、それいっぱいに動きがあり、作品に迫力がありました。

聖なる絵はカーテンの後ろに

アニメでネロ少年が愛犬パトラッシュと一緒に息絶えたのは、「キリストの降架」の前でした。その当時、「キリストの降架」と「キリスト昇架」の前にはカーテンがあり、銀貨を払わないと見ることができなかったそうです。実際の時代の通りに、物語が描かれていたんですね。貧しかった彼には叶わず、余計にルーベンスの絵を見たかったことでしょう。かわいそうなネロ少年を思い、感傷に浸りながら祭壇画を眺めてしまいました。大聖堂を飾るのにふさわしい威厳を感じる作品です。現在は、カーテンも取り払われ、自由に鑑賞することができます。

アントワープの魅力は、ネロ少年だけではない

アントワープの町は、「フランダースの犬」が縁で訪れる日本人が多いですが、見所はノートルダム大聖堂だけではありません。首都ブリュッセルに次ぎ二番目に大きな町で、「ダイヤモンドの町」としても知られています。中央駅近くには、ダイヤモンドを取り扱うお店が並び、ゴージャスな雰囲気。巨匠ルーベンスの住んでいた家や、現在音楽博物館になっている肉屋のギルドハウスも見所の一つです。また、世界遺産に登録されているプランタン=モレトゥス印刷博物館も、世界で初めて産業印刷が行われた工房として見所があります。