常温で作るエール

前編からの続きです。さて、ビール酵母が沈む「ラガー」に対して、上面発酵の「エール」では酵母が発酵中に浮いてきます。また、20度前後の常温で比較的短時間で発酵できるため、設備の少ない小さな工場でも作ることができます。ビールの起源は紀元前4000年以上前にまで遡ると言われていますが、このような古い時代から使われていたビール酵母が、エールビールで使われる上面発酵する酵母です。現代では上面発酵とエールはほぼイコールの意味で使われていますが、歴史的には「エール」という言葉は、紀元前後にイギリスで作られていた穀物酒のことを指していたそうです。

アイルランドのレッドエール、スミズウィックス アイルランドのレッドエール、スミズウィックス

ヨーロッパに来たらエールビールをぜひ飲もう

エールはラガーに比べるとまろやかな口当たりで、豊かな香り持っています。深いコクや苦味を持ったもの、甘味やフルーティーな味わいを持ったものなどさまざまな種類があります。味によって合う食事が変わることもありますが、せっかくにヨーロッパに来たなら飲んでほしいのがこのエールビールです。ビールごとに特徴が驚くほど変わるので、きっと新たなビールの楽しみ方を見つけることができるはずです。

ぬるくても美味しいエールビール

エールビールを飲むときは、ラガービールを飲むときとは少し方法を変えてみましょう。エールビールは風味が強いので、勢いよくゴクゴクと飲むよりは、ゆっくりとその風味を楽しむのがおすすめです。「ゆっくり飲んでいるうちにぬるくならない?」と思うかもしれませんが、エールビールは常温発酵のビールですので、冷たくなくても大丈夫。美味しさは損なわれず、豊かな香りを楽しむことができます。また、中にはアルコール度数が10%を超える高いものもあるので、ワインのような感覚でじっくり味わってみるといいでしょう。

海外の主なエールビールと日本での流行

最も代表的なエールビールは、イギリスのペールエールで、このスタイルで作られるビールにはライトエール、ビターエール、インディアンペールエール(IPA)など本当にさまざまなものがあります。エールにはスタウトという黒ビールもあり、有名なアイルランドのギネスもスタウトスタイルです。ドイツではヴァイツェン、アルト、ケルシュなどの系統のエールビールがあります。最近日本でも専門店が増えているベルギービールは、人気のヒューガルデンを筆頭に、非常に数多くのエールビールがあります。また、日本でクラフトビールとして人気のある「よなよなエール」や「銀河高原ビール」もエールビールです。普段とは気分を少し変えて、旅行ではエールビールを楽しんでみてはいかがでしょうか?