- 岡崎大五
- 風来坊のような旅人が、30歳で帰国。海外専門の添乗員を経て作家になりました。角川文庫の添乗員シリーズは累計30万部を超えるベストセラーに。今ではミステリー小説やエッセイなども書いていますが、旅は止められません!訪問国は83か国です。ブログ「岡崎大五の作家生活」を運営中。
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ベルギーで食べるワッフルは、なんだかおいしい
ベルギーのブリュッセルは、パリから1時間20分ほど、アムステルダムからも2時間弱で結んでいます。しかもブリュッセル中央駅の近くに観光名所が集まっているので便利です。坂道を下って行くと生チョコやワッフルのお店が軒を連ねています。そして17世紀以前に建てられた建物に囲まれた広場グランプラスがあります。ビール博物館やチョコレート博物館があり、一角には世界旅行漫画で有名な「タンタン」のお店も。土産物屋街を行けば、左手に名物の小便小僧の像が見えてきます。あまりに小さいために、「世界三大ガッカリ」に数えられるほど(残る二つはシンガポールのマーライオンと、デンマークの人魚姫です)。グランプラスをはさんで、小便小僧とは反対側の路地がイロ・サクレ地区。歩道にテーブルをびっしり並べ、バケツに入った名物のムール貝のワイン蒸を食べている人たちを見かけます。ここで半日は過ごせそうですね。
グランプラスから駅まで戻り、右に曲がればベルギー王立美術館です。ここには14世紀から18世紀までのベルギー北部フランドル地方で活躍した画家の作品が収蔵されています。16世紀くらいまでは宗教画が多数を占めます。肌の色合いとワイン色が美しいです。これらフランドルの黄金時代の作品群で、もっとも有名なのはルーベンスでしょう。ドイツ生まれながらベルギーのアントワープで工房を経営していました。日本人に最も有名な絵は「フランダースの犬」に出てくる「聖母被昇天」です。美しい絵ですが、これはアントワープの大聖堂に飾られています。ベルギー人は、実はこの童話が嫌いです。というのも、あんなに可哀想な子供がいても放っておくほど、ベルギー人は冷たくないと言うのです。そりゃそうでしょう。ここでは「東方三賢王の礼拝」など大作をお楽しみください。面白いのは宗教画の中に描かれている庶民の生の姿です。
庶民の姿をユーモラスに描いているのがブリューゲル(父)。四人いるブリューゲルの最初の人です。まるで冬のベルギーを描いたような「ベツレヘムの戸籍調査」でも、大勢の登場人物が雪の中で登場します。役所に並ぶ人々、フライパンで料理する女性、馬に乗る人、鶏数羽、背中に荷をのせ運ぶ人、雪合戦する子供たちなど。みんな何をしているのだろうかと眺めていると、すぐに時間が経ってしまいます。雪をこれほど上手に、人々の暮らしとと結びつけて描いた画家をほかには知りません。また時代が下って、デルヴォーも面白いです。ヌードの女性が、時空を超えて、古代エジプトで歩いていたり、アールヌーヴォー様式の家で寝そべっていたり、トラムが走っていたり、骸骨がやたらに出てきたり。かたやマグリットは、いつも静かで、しかし騙し絵にはやられちゃいます。二人ともベルギーが生んだシュールレアリスムの巨匠です。せひご注目あれ!
※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2016/12/15)
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