- 鈴木幸子
- 旅行ジャーナリスト&エディター。出版社勤務、地球の歩き方編集等を経て独立後、海外の旅を中心に執筆。海外60か国以上を頻繁に取材し、幅広いメディア(旅行誌、婦人誌、朝日新聞社&時事通信社、WEB媒体)等で一期一会のハッピーな旅行記事を発信中。(有)らきカンパニー主催。「らき」はギリシャ・クレタ島の地酒です。
出発エリアをに変更しました。
ヴィクトル・ユーゴーが「世界でもっとも美しい広場」と賞賛したグランプラス。
2019年はフランダース絵画の巨匠ピーテル・ブリューゲル没後450年記念の年です。そこで街中のブリューゲル関連スポットを巡る「お散歩ルート」を紹介します(ブリューゲルについては『2019年はブリューゲル没後450年(1)(2)』『ベルギー王立美術館(前・後編)』をご覧ください)。ブリュッセルに着いたら、まずはブリューゲルもよく足を運んだであろう世界遺産グランプラスへ。高い塔をもつ市庁舎を中心に、緻密な装飾を施した美しいギルドハウスが並んでいます。こちらは夕方から夜にかけてが断然綺麗! 夜23時頃まではライトアップされているので、日中の観光とは別に夕方から夜にかけてもぜひ行ってみてください。とくに夏の夜は心地よく、広場内のカフェはもちろん、石畳に直に座ってイルミネーションを楽しむ若者を多く見かけました。
14世紀の建築がそのまま残る「ゴシックの間」。4階は19世紀のブリュッセルの暮らしについての展示となっています。入館料は大人12ユーロ。
ピーテル・ブリューゲル1世は、37歳の時にアントワープからブリュッセルに移住し、43歳(1569年)で亡くなるまで住んでいました。散歩ルートは、旧市街の南入口にあるハルの門(Hallepoort)からスタートです。14世紀に町を守る城門として建てられたハル門は19世紀に改装されて以降、5階建ての「ベルギー王立軍事歴史博物館」となっています。この上階では16世紀ブリューゲル時代の体験型VRアトラクションが催されます。彼が住んでいたマロール地区の眺望を最上階からハイテク双眼鏡で見られる他、権力と反逆、宗教改革、旅行と好奇心、祝福とエンターテインメントのコーナーに分けられ、たとえばVRゴーグルをかけてブリューゲル4つの作品の中を旅する体験や、フランダースの郷土料理について学べる展示も。
イザベラの命により始まったグランプラスのパレードは、街の発展と威信を国内外に示すためのものでした。パレードで各ギルドが手にもって歩いた業種別のトーチも展示しています。写真は2階の鎧と馬のはく製。
この博物館、歴史を学ぶにはとても貴重です。ネーデルランドは15世紀後半からハプスブルク家の領土となります。16世紀末にスペイン王フィリップ2世の娘イザベラはネーデルランド南部(現ベルギー)をもらいうけ、夫アルプレヒトとともに共同統治にあたりますが、ここには当時のブリュッセル最盛期の遺物が展示されています。とくにアーチ柱が美しい2階のゴシックの間は必見。見ものはフィリップ2世時代に使われていた北イタリア製の鎧と兵馬のはく製。この鎧、なんと、当時はお城1つ分に相当する高価なものだったそう。ほかにもフィリップ2世の父、カルロス5世が使っていたベビーベッドや、水飲み場の石の一部(ヘラクレスの柱が彫られています)、魚市場の門など貴重なものばかり。3階はギルドに関する展示が。17世紀のグランプラスのパレードの様子を描いた大絵画もお見逃しなく。
ノートルダム・ド・ラ・シャペル教会横に立つピーテル・ブリューゲルの銅像
ハル門を出てオート通りを北方向へ歩くと、突き当たりに見えてくるのが「ノートルダム・ド・ラ・シャペル教会」。ここはブリューゲルが37歳で師ピーテル・クックの娘と結婚した教会で、またブリューゲルの遺体が埋葬されたとされる教会です。教会横にはブリューゲルの銅像が立てられ、内部には埋葬を示すプレートも残っています。教会を見学したら北西方向のミュージアムエリアへ。「ベルギー王立美術館」でブリューゲル一族の絵画、また「ベルギー王立図書館」の版画展(『ベルギーのアート旅(前編)』参照)、どちらも存分に堪能しましょう。
●16世紀のブリューゲルの世界展 BACK TO BRUEGEL EXPERIENCE THE 16TH CENTURY
日程:2019年10月18日〜2020年10月18日
会場:ハルの門 www.kmkg-mrah.be/halle-gate
取材協力:ベルギー・フランダース政府観光局 www.hollandflanders.jp
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