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ベルギーのアート旅(前編)/16世紀の売れっ子画家ブリューゲルの版画展は2019年10月から


ベルギー王立図書館秘蔵の版画が見られる絶好のチャンス!

(c)プランタン・モレトゥス印刷博物館所蔵「船の版画シリーズ」の1枚。アントワープで撮影。 (c)プランタン・モレトゥス印刷博物館所蔵「船の版画シリーズ」の1枚。アントワープで撮影。

今年没後450年を迎えたネーデルランド出身画家ピーテル・ブリューゲル1世。10月からブリュッセルのシャルル・ド・ロレーヌ宮で版画展「白黒のブリューゲルの世界展」が開かれます。『農民の婚宴』などの油絵で知られるブリューゲルですが、実は画家としてのキャリアは版画の下絵制作からスタートしました。今回の展覧会には全65点の版画作品のうち、王立図書館から17点が出展される予定です。ブリューゲルの作品を通じ、16世紀の版画づくりのノウハウや流通についても学べる貴重なもので、ブリューゲル記念イヤーのハイライトとなります。

世界的な貿易港アントワープの繁栄とブリューゲル

(c)ベルギー王立図書館所蔵『大きい魚が小さい魚を食らう』は、有名すぎるピーテル・ブリューゲル1世の版画。 (c)ベルギー王立図書館所蔵『大きい魚が小さい魚を食らう』は、有名すぎるピーテル・ブリューゲル1世の版画。

ピーテル・ブリューゲル1世が活躍する16世紀、世の中は大航海時代。港町のアントワープは商業・金融都市として栄え、ヨーロッパ中から貿易商が集まります。人口は10万人を超えていたそうです。街には裕福な中産階級が増え、彼らは芸術家のパトロンとなって版画や絵を自宅に飾るようになりました。そして画商や美術コレクターも集まります。書籍や版画の出版も盛んになり、大手版画出版業者のヒエロニムス・コックが大活躍。そんな中、ブリューゲルも仕事を求めてアントワープへ移住し、コックの元で版画の下絵画家として活動します。とくに人気を博したのがイタリア留学から帰国して描いた「船の版画シリーズ」とアルプスの「大風景画シリーズ」です。この頃は、旅、貿易、行商が画家たちの新しいテーマとなっていました。

フランダース絵画の真骨頂はブリューゲルの風景画

(c)ベルギー王立図書館所蔵、タイトルなしの風景画は、当時旅行できない画家の参考資料にもなっていました。 (c)ベルギー王立図書館所蔵、タイトルなしの風景画は、当時旅行できない画家の参考資料にもなっていました。

まず、帆船。アントワープの貿易業者たちにとって、船は遠い国の宝ものや情報をもたらす富の象徴でもありました。ブリューゲルは船の構造がすべて分かるくらい精密に描き、それがヨーロッパ中で大人気となったのです。そしてイタリア旅行中にルネッサンス美術よりも心を奪われた、アルプスの風景。ブリューゲルは旅しながらスケッチをして、山や森、川などの景観に城砦などの建物を加えていきました。パノラマ風景を自然に描いているのはブリューゲルならではの特徴です。後期になると、ルネッサンス美術の影響が見られるようになります。それも人物をドン、と中心に描くのではなく、風景画の中にさりげなく入れるところが粋である! と知識人の間で高い評価を受けたのです。

キュレーターに尋ねたブリューゲルの魅力

(c)ベルギー王立図書館所蔵。版画とは思えない白黒の濃淡が鮮やかで美しいブリューゲルの作品。エッチングとエングレービングを組み合わせて彫る技法は製作時間を短縮でき多く印刷できたことから、17世紀後半から増えてきました。 (c)ベルギー王立図書館所蔵。版画とは思えない白黒の濃淡が鮮やかで美しいブリューゲルの作品。エッチングとエングレービングを組み合わせて彫る技法は製作時間を短縮でき多く印刷できたことから、17世紀後半から増えてきました。

2018年、筆者はブリュッセルの王立図書館のキュレーター、ヨリス・ファン・グリーケンさんから今回の版画展に出展予定の『大きな魚は小さな魚を食らう』や『平穏な田舎』、『聖ジョージの祭り』など数点を見せていただきましたが、その美しさに引きこまれてしまいました。彫版の技法は、後期になるとエッチング(銅板に直接刻みつける)とエングレービング(腐食凹版技法)を組み合わせて制作されているとのこと。最後にグリーケンさんにブリューゲルの魅力を尋ねると「ユーモアのセンスとヒューマニティ、時間をゆっくりかけて楽しめるところ」というお答えでした。

版画を身近に楽しんでいた中世の商人たち

シャルル・ド・ロレーヌ宮内部 シャルル・ド・ロレーヌ宮内部

16世紀、版画は額に入れて飾るのではなく、机に置いたり壁に立てかけてもっと身近に楽しむものでした。今回の版画展の作品はブリューゲル時代の頃のスタイルで展示されるそうです。楽しみですね! 会場は王立図書館に隣接するシャルル・ド・ロレーヌ宮。18世紀の美しい宮殿の建築にも注目してください。『ベルギーのアート旅(後編)』へ続く。
● 白黒のブリューゲルの世界展 THE WORLD OF BRUEGEL IN BLACK AND WHITE
日程:2019年10月15日〜2020年2月16日
会場:シャルル・ド・ロレーヌ宮 www.kbr.be/en/palace-of-charles-of-lorraine
取材協力:ベルギー・フランダース政府観光局 www.hollandflanders.jp

※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2019/03/29)

※旅行前には必ず、外務省の海外安全ホームページで訪問地の安全情報についてご確認ください。
※この記事はガイドレポーターの取材によって提供された主観に基づくものであり、記事は取材時時点の情報です。
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