「ヨーロッパの九寨溝」と言えばわかる?

エメラルドグリーンの湖。湖底に沈む、倒木…。近年、日本でもその絶景ぶりが知られるようになった、クロアチアのプリトヴィッツェ湖群国立公園。世界遺産にも登録されている場所ですが、どんなところでしょう。ざっくりたとえると、「石灰華が見られる尾瀬」あるいは「ヨーロッパの九寨溝」でしょうか。クロアチアからスロヴェニアにかけての山岳地帯には石灰岩のカルスト地形が多く、多くの鍾乳洞もあります。ここプリトヴィッツェでは、渓谷に囲まれた川が数十万年から数百万年という長い年月をかけ、あちこちに大小の湖や滝を造りました。その際に、多くのミネラルを含んだ水はあちこちに「石灰華」と呼ばれる白い石の結晶のようなものを生み出し、それが沈殿して湖の底に溜まるだけでなく、石灰棚を造って水の流れをせき止めたり、時には水中に沈む倒木に付着したりしてそれを腐るのを防ぎました。

晴れた日は湖面がエメラルドグリーンに輝く 晴れた日は湖面がエメラルドグリーンに輝く

四季それぞれの美しい景色

石灰華が造った石灰棚は、あちこちで堰を造って水の流れをせき止め、いくつもの小さな湖を作り出しました。水は恐ろしいほど透明で、かなり深い湖底まで肉眼で見えるほどです。天気がいいと“エメラルドグリーン”にも見える美しいこの湖畔には多様な植物が茂り、この一帯をヨーロッパ有数の美しい景色に仕上げました。これらの湖をつなぐように遊歩道が造られ、春には新緑、夏には深緑、秋には紅葉、オフシーズンの冬(一部閉鎖)でさえ雪に包まれた景色が堪能できます。公園には全部で大小16の湖と90以上の滝があり、1146種類の植物が見られるそうです。その貴重な景観から、1979年には世界自然遺産に登録されました。

内戦の被害から復興

1991年に始まったクロアチアの独立による紛争ですが、こんな山の中のプリトヴィッツェにも影響がありました。ユーゴスラビアからの離脱に反対するセルビア人勢力がこの公園を占拠し、周囲の家の人々を追い出してしまったのです。野生動物も逃げ出し、公園は一時、「危機に瀕する世界遺産」のリストにあげられるほどだったといいます。1995年に内戦は終了し、平和が戻ってきました。公園も97年には危機遺産のリストから外され、今では毎年多くの人が訪れる、クロアチア有数の観光地として知られるようになりました。クロアチアの首都ザグレブからは、バスで片道2時間半の距離なので日帰りもできますが、できれば公園内のホテルに1泊して、人の少ない時間に散策することをおすすめします。夏のハイシーズンは、かなりの人出ですよ。