洗礼堂にある、クロアチアを代表する彫刻家の作品

ディオクレティアヌス宮殿の観光案内、その2からの続きです。さて、中庭を挟んで、大聖堂の反対(西)側に30メートルほど歩いたところにあるのが、「洗礼堂」です。ここはかつて「ユピテル神殿」だった建物ですが、後にキリスト教の洗礼堂になりました。中央に十字形の洗礼盤がありますが、“盤”というより“風呂”です。初期キリスト教の洗礼は、体全体を浸すものだったからとか。洗礼盤正面には、11世紀の「十字架を持ったクロアチア王」の浮彫りがありますが、その表現は稚拙で、中世の文化・芸術の退行度がよくわかりますね。奥には現代風の像が置かれていますが、これはクロアチアの国民的彫刻家のメシュトロヴィッチ作の「聖ヨハネ像」で20世紀のものです。宮殿の北門である金の門の前に立つ「グルグールの像」も、彼の手によるものですよ。

前庭では、クロアチアの伝統的な合唱「クラパ」が聴けるかもしれない 前庭では、クロアチアの伝統的な合唱「クラパ」が聴けるかもしれない

前庭では、男性の合唱が聴けるかもしれない

中庭に戻って、今度は南側の階段を数段上り、門をくぐると、かつての宮殿の前庭(玄関)に出ます。地盤沈下しているのでわかりにくいですが、かつてはここが宮殿の2階、元皇帝の住居の入口でした。高い天井の上部にはぽっかりと穴が開いていますが、かつてはドームで覆われていたそうです。観光シーズンなら、ここで男性四人による合唱「クラパ」を聴くことができるでしょう。これはクロアチアの伝統音楽とのことで、私が行ったときも高い天井の反響を利用して、男性たちが力強く歌っていました。ここを抜けると、元皇帝の住居部分ですが、現在はその一部が民俗学博物館の敷地になっています。民俗学博物館からは、この前庭の天井部分に行くことができます。見下ろすと、落ちそうでちょっと恐いですが…。

「宮殿の地下」は見逃すな!

民俗学博物館の辺りで、地下へ下がる階段があります。この下は「宮殿の地下」と呼ばれているところですが、ここは正しくは地下ではなく、かつては宮殿の一階(下層階)でしたが、地盤沈下によって沈んでしまったのです。一部は土産物屋街になっていますが、「宮殿の地下」の見学もできます(有料)。現在、皇帝の住居の部分の多くは壊されてかつての面影がありませんが、この「地下」部分は当時の柱が残っており、広くて見応えがあります。かつては厨房や倉庫でしたが、中世にはゴミ捨て場になっていたとか。しかし上階と同じ造りだったというので、皇帝の私室がどうだったか想像するもいいですね。土産物屋のある通路を挟んで、見学部分は2つに分かれているので(チケット共通)、忘れずに両方見てくださいね。これで、ディオクレティアヌス宮殿内の見学はおしまいです。