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海外現地発ガイド通信

史上最大の連作『スラヴ叙事詩』を描いたムハの故郷イヴァンチッツェ


掲載日:2017/03/14 テーマ:美術館・博物館 行き先: チェコ / ブルノ

タグ: 珍しい 名画 歴史


モラヴィア兄弟団が設立されたイヴァンチッツェ

イヴァンチッツェの中心部にある聖母マリア被昇天教会は町のシンボル イヴァンチッツェの中心部にある聖母マリア被昇天教会は町のシンボル

ミュシャの名前で知られているアルフォンス・ムハはチェコのモラヴィア地方出身の画家である。パリで長らく活躍していたためフランス風にミュシャと呼ばれ、フランス人と思われることもしばしば。しかし彼はれっきとしたチェコ人で、1860年にモラヴィアの小都市イヴァンチツェで生まれている。ブルノから21Km南に位置する人口約9000人の地方都市。小さいながらも歴史的な町で、16世紀にモラヴィア兄弟団というフス派の流れをくむプロテスタント信徒団体がここで設立された。19世紀になると産業が栄えるが、現在は小さな静かな町である。そんなイヴァンチッツェに時々観光客がやってくる。それはムハの生家が残っているからだ。ムハの父親は裁判所の下級官史だった。社会的地位は決して高くなく、貧しい生活の中で子供5人のうち3人を結核で亡くしている。

プラハ美術アカデミーに入学できなかったムハがパリでデビュー

ムハの生まれた館は町の中心広場の直ぐ近くにある ムハの生まれた館は町の中心広場の直ぐ近くにある

元気に育ったムハは幼い頃より絵の才能を発揮し、中学からはチェコ第2の都市ブルノへ出て学んだ。18歳でプラハの美術アカデミーを受験するが不合格。やむなくウィーンへ出て舞台装置の仕事をして働いた。その後、ミクロフ(南モラヴィア)のクーエン伯爵の援助によりミュンヒェンやパリの美術アカデミーで学び、パリで雑誌の挿絵を描いて生計を立てるようになった。人生を変えたのは1894年暮れのこと。クリスマス休暇で工房の先輩たちが帰郷していたためムハに大女優サラ・ベルナール主演『ジスモンダ』のポスター制作依頼が舞い込む。石板を2枚使って仕上げた縦長の大きなポスターが1月1日に街頭に貼られると、パリ市民は度肝を抜かれた。ポスターは瞬く間にはぎ取られて街から消えていった。こうしてムハは一夜にして時代の寵児となったのである。

ムハが生まれ育った館はムハの作品展示館になっている

裏側の建物一階、ムハ一家が住んでいた部屋 裏側の建物一階、ムハ一家が住んでいた部屋

イヴァンチッツェにはムハの生家がそのまま保存され、展示館になっている。さすがにここまでやって来る外国人観光客は滅多にいないが、チェコ人観光客は多く、特に若い男女が目立つ。展示館は町の中心部にあり、立派な建物だ。内部にはムハの生涯を紹介したパネルやムハが描いたオリジナルの絵、スケッチ画などが展示されている。有名なものではないが点数は多い。何よりもムハが生れ、生活していた場所に自分が来ていることが感慨深い。ムハは貧しい生活をしていたと聞いていたが、その割には随分立派な館だ。不思議に思っていると係員が教えてくれた。この建物は刑務所だったもので、ムハ一家は中庭を挟んだ向かいの建物の一室に住んでいたとのこと。そこは現在個人アパートになっているので見学できないが中庭からその部屋を見ることはできる。

『スラヴ叙事詩』全20点を一堂に会した展覧会

ムハの故郷イヴァンチッツェを描いたスラヴ叙事詩『イヴァンチッツェの兄弟団学校』 ムハの故郷イヴァンチッツェを描いたスラヴ叙事詩『イヴァンチッツェの兄弟団学校』

ムハは官能美に満ちた女性を描いていたが1910年頃から画風に変化が見られ、それまでの官能美は消えてスラヴ色が濃くなっていく。『スラヴ叙事詩』の制作はこの頃から始まり、完成した20枚の連作はプラハの美術館に常設展示されるはずだった。ところがナチスでの時代に退廃的との理由で禁止となり、巻かれた状態で保存された。戦後しばらく経った1962年からモラヴィアのモラフスキー・クルムロフ城に全作品が展示された。それがやっとプラハに戻されたのは2012年のことである。プラハではヴェレトゥルジュニー国立美術館に展示されていたが、この20点全てが東京の国立新美術館に6月5日まで展示されている。これまで世界各地の名美術館で数点展示されたことはあるが20点全ての展示は世界で初めて。プラハへ行って観るのも良いが、まずは東京で鑑賞しよう!

データ

ムハの生家に掲げられた記念額 ムハの生家に掲げられた記念額

アルフォンス・ムハ展示室(イヴァンチッツェ)
Stala expozice Alfonse Muchy
住所:Palackeho namesti 9, 664 91 Ivancice
電話:+420 546 451 870, +420 546 419 429
開館時間:月曜〜金曜は9:00〜12:00、13:00〜16:00
     土曜、日曜、祭日は13:00〜17:00(7月と8月は午前中も開館)
入館料:40コルナ
http://kic-ivancice.webnode.cz/turisticke-informace/expozice-alfonse-muchy/

東京でのミュシャ展(2017年3月8日〜6月5日)に関して
http://www.mucha2017.jp/

 

※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2017/03/14)
※旅行前には必ず、外務省の海外安全ホームページで訪問地の安全情報についてご確認ください。
※この記事はガイドレポーターの取材によって提供された主観に基づくものであり、記事は取材時時点の情報です。
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