- 有賀みかる
- 2005年よりチェコ・プラハ在住。安くて美味しいビールを前に日本酒党返上…でも時々恋しくなる。複雑怪奇なチェコ語文法と格闘しつつ、中欧の小国チェコの歴史の面白さ、美しい街並み、素晴らしい建築物に浸かる日々。
出発エリアをに変更しました。
細かいモザイクで覆われた手の込んだ天井と柱は一見の価値あり
オーストリア・ハンガリー帝国のハプスブルク家統治のもと、プラハはウィーンに並ぶカフェ文化が花咲いた街。当時からつづく歴史あるカフェのなかでも、ここインペリアル・カフェは、その素晴らしいインテリアと数奇な歴史で注目されるカフェ。2005年から大掛かりな改装工事を経て、今秋リニューアル・オープンしました。改装に2年も費やされたのにはワケがあります。中欧でも他に見られない見事なセセッション・モザイクの内装を、1914年の当時そのままに再現したからなのです。
コーヒーを頼むと、もれなくドーナツがついてきます
ホテルに併設するカフェとして、当時流行のアールデコ様式に作られて以来90年。その間、第一次世界大戦を生き延び、第二次世界大戦中はドイツのゲシュタポに使われてしまいます。戦後まもなく、今度は共産主義者たちによって閉鎖され、映画のセットとして歩むことに。一般の人たちがこの美しいモザイクを再び見ることができたのは、ビロード革命後のことでした。さて、ここでコーヒーを頼むと、なぜか頼んでもいないドーナツがついてきます。これもここの伝統のひとつで、前日のドーナツを店内の客に投げつけてもいい、という遊びがあったことにちなんでいます。
この店伝統のドーナツは今も健在。中には甘〜いジャムが
改装前には、“1843コルナ(約11,000円)で前日のドーナツ買えます”と注意書きしたものがカウンターに置かれていたのを見ました。1843とは、小説家Jirotkaがこのドーナツ投げ戦争のことを『Saturnin』という本の中で書いた年にちなみます。支配人のコウベック氏によると、改装された現在、ホテルは5つ星に格上げされたこともあって、この伝統をどうするか悩み中(笑)とのこと。私も何度もここへ来ていますが、幸いドーナツを投げつけられたことはなく…(ホッ)。みなさんもどうか狙われませんように。
自慢のケーキはどれもおいしそうで、食べ過ぎてしまいそう
ドーナツはさておき、改装後は人気シェフ、Zdenek Pohlreichを招き、料理もさらに魅力的に。パスタやデザートといったカフェメニューの他に、1日中注文できる朝食メニューや、ヌーヴェル・チェコ・キュイジーヌが人気を呼んでいます。「うさぎのロースト、ほうれん草とポテトダンプリング添え」290kc(約1700円)や「クリーム・ブリュレ」110kc(約600円)はとても美味。5つ星ホテル併設のカフェながら、当初のグランドカフェスタイルを守り、エスプレッソ35kc(約210円)からと良心的。本格的な食事にもちょっとした休憩にも使える、プラハで覚えておきたいアドレスです。
併設の5つ星のホテル・インペリアルとともにエクステリアは美しいアールデコ・スタイル
■カフェ・インペリアル(Caf Imperial)
住所:Na Porici 15, Praha 1
電話:420-246-011-440
URL:http://www.cafeimperial.cz
営業時間:7:00−23:00 年中無休
※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2007/10/25)
※旅行前には必ず、外務省の海外安全ホームページで訪問地の安全情報についてご確認ください。
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