- 有賀みかる
- 2005年よりチェコ・プラハ在住。安くて美味しいビールを前に日本酒党返上…でも時々恋しくなる。複雑怪奇なチェコ語文法と格闘しつつ、中欧の小国チェコの歴史の面白さ、美しい街並み、素晴らしい建築物に浸かる日々。
出発エリアをに変更しました。
夜にひときわ映える黄金の屋根をもつ国民劇場は、チェコ国民の悲願の結晶
日本に比べて緯度が高いヨーロッパの冬は、夜が長くなります。寒い季節ですが、オペラやバレエ、クラシックコンサートなどを楽しむ絶好のシーズン到来!そしてここプラハはそれにふさわしい本格的な劇場、荘厳なコンサートホール、音響が素晴らしい小さな教会、街場の小さなジャズバーまで驚くほどたくさんの選択が可能。さらに嬉しいのは、日本では考えられないチケットの安さ。チェコで最も格式高い国民劇場の一番高い席でオペラやバレエを見たって、800コルナ(約4800円)なのですから。
幕間はロビーで優雅にシャンパンなどいかが? 服装は正装の人も多いけれど、ある程度きちんとした格好なら特に気にしないでも大丈夫
今年でシーズン125年目を迎える国民劇場は、数ある劇場の中でもチェコ人にとって特別な場所。ハプスブルク家統治のドイツ語支配の中で、チェコ語で上演できる劇場建設は悲願でした。オーストリア・ハンガリー帝国の中で政治的独立に先駆けて、いわば文化的独立の象徴となったこの劇場、実はチェコ国民のカンパによって建てられたもの。1881年、記念すべきこけら落としをボヘミア王国起源の伝説がモチーフのスメタナ作「リブシェ」で迎えたのもつかの間、火事で全焼。2年後再度カンパを集めて完成させたという悲願の結晶なのです。
劇場内部の様子。上階のギャラリー席からはオーケストラピットもよく見える
チェコ人の思い入れたっぷりのこの劇場、その背景の歴史もさることながら、建物内外に3キロもの金が使われてるというゴージャスな劇場。夜プラハの街の少し高いところから見ると、屋根が黄金色に輝いていて、別名「黄金の礼拝堂」と言われる所以がわかるというもの。内部は舞台の前に一段下がったオーケストラピット、ロジェ席、美しいロビーホールも備えた欧州の本格的な劇場で、その素晴らしさは一見の価値あり。2階席ギャラリーなら、なんとたった60コルナ(約360円)でゆったり座って本格オペラが鑑賞できてしまうのです!
最近私が見た『白鳥の湖』の舞台挨拶シーン。観客の拍手に応えて数回登場
「チェコ語によるチェコ人のための舞台を」がスローガンの国民劇場、オペラや演劇も素晴らしいのですが、いかんせんチェコ語というネックが。字幕が付くのでそれなりに楽しめますが、オススメは言葉の心配ないバレエ。オーケストラピットでの生演奏で聴ける音楽も嬉しいし、古典から現代まで幅広く質の高いプログラム。今シーズンはクリスマスの雰囲気たっぷりの『くるみ割り人形』が来年初めまで上演の予定。URLで予約がとれなくても、当日にボックスオフィスに直接行って見て取れる場合も。欧州の冬の醍醐味です。
上演前後は劇場内探検を。ペトシーンの丘を望む夜のテラスもステキなので忘れずにチェック!
■国民劇場(Narodni divadlo)
住所:Ostrovni 1, 112 30, Praha 1
アクセス:トラム停留所「Narodni divadlo」下車。ヴルタヴァ川沿い、カレル橋の一本南にあるレギイー橋のたもと、有名なカフェ・スラヴィアの向かいにあります。Box Officeは、隣にあるラテルナ・マギカ劇場との間を入り、国民劇場を右手に見て通りから見えない奥にあるガラス張りの建物内。
営業時間(Box Office):月〜金10:00〜18:00
URL:http://www.narodni-divadlo.cz
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