- 有賀みかる
- 2005年よりチェコ・プラハ在住。安くて美味しいビールを前に日本酒党返上…でも時々恋しくなる。複雑怪奇なチェコ語文法と格闘しつつ、中欧の小国チェコの歴史の面白さ、美しい街並み、素晴らしい建築物に浸かる日々。
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ラダのイラストの絵葉書は、特に冬のシリーズがおすすめ。そり遊びをする田舎の子供達(左)とクリスマス名物の鯉を売る市を描いたもの(右)
雪の積もったチェコの村を歩くと、真っ先に思いつくのはヨゼフ・ラダの挿絵。未完ながらチェコで最も愛されている小説、『善良な兵士シュベイクの冒険』の挿絵を手がけたラダは、チェコ人なら大人から小さな子供まで知らない人はいないぐらい有名なイラストレーター。その牧歌的な田舎の風景と、なにげないチェコ人の暮らしの歳時記をテーマにした楽しい絵柄で外国人ファンも少なからず。今年は彼の生誕120周年、そして没後50周年ということで、市民会館(Obecni dum)で大きな展示会をやっています。
毎年ラダのカレンダーはチェコ人にも人気。写真は2008年用、ラダお得意の動物シリーズのカレンダー
ヨゼフ・ラダ(1887〜1957)は、プラハから南東へ35kmほどいったHrusice村に生まれました。東京と違って、電車でちょっと走ればすぐにのんびりした田舎の風景が広がるチェコ。ラダの世代はハプスブルク家からの独立、2度の世界大戦、戦後の共産党独裁と波乱万丈であったはずですが、昔から今に続く普通の人々の暮らしというのはそう変わらないのだと彼の絵から改めて気付かされます。居酒屋での騒動やきのこ狩り、クリスマスの鯉の買物、そり遊び…。イラストに出てくる服装こそ今や見かけないものの、今日まで続いている習慣もたくさんあります。
チェコの国民的キャラクター、ヤロスラフ・ハシェク作『善良な兵士シュベイクの冒険』のイラストでも有名
70年の生涯で1万5千点以上のイラスト、400点以上のペインティングを残した量産化のラダ。『善良な兵士シュベイクの冒険』の挿絵も小説の長さに比例してたくさん。その他たくさんの子供向け絵本のキャラクター、あるいは当時の水道局キャンペーンの広告ポスター、そして今でもスーパーマーケットに行けば、ラダのイラスト付きポテトチップスなどが見つかったりします。
近所の図書館でもラダ特集。絵本の挿絵もたくさん描いています
カラフルで細部まで丁寧なラダのイラストは、絵本大国のチェコみやげとして、ラダについて何も知らない人にも喜ばれるお土産に。カレンダーは毎年数種類発売され、今年はどれを買おうか、といつも真剣に迷います。絵葉書(1枚30円程度)もたいていのお土産屋さん、文房具屋さんで揃い、種類も豊富。本屋さんではチェコの子供たちが大好きな猫のミケシュ(Kocour Mikes)の絵本や子供向けABCの絵本などなど、絵本好きにも見逃せないラダなのです。
共和国広場の市民会館で現在開催中のヨゼフ・ラダ展へは、このポスターが目印
■ヨゼフ・ラダの展示会
場所:共和国広場の市民会館(Obecni dum)
住所:Obecni dum, nam.Republiky 5
開催期間:2007年11月15日〜2008年2月3日まで
営業時間:10:00〜19:00(18:30最終入場)
入場料:大人120kc、学生、シニア(60歳以上)は60kc
※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2007/12/19)
※旅行前には必ず、外務省の海外安全ホームページで訪問地の安全情報についてご確認ください。
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