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海外現地発ガイド通信

青山ミツコに縁の深い、ボヘミアのホルショフスキー・ティーン城


掲載日:2021/02/05 テーマ:城・宮殿 行き先: チェコ / プラハ

タグ: ためになる 珍しい 歴史


光子が暮らしていた城の家具が近くの城に移されている

ホルショフスキー・ティーン城に展示されている180センチほどの長さがある大きな光子の肖像画 ホルショフスキー・ティーン城に展示されている180センチほどの長さがある大きな光子の肖像画

“EUの父”と呼ばれるリヒャルト・クーデンホーフ・カレルギー伯爵は父親がオーストリア人、母親は日本人で”ミツコ“の名で知られている。リヒャルトの父で外交官だったハインリヒは東京にいる間に青山光子と出会い、1892年に結婚。長男と次男のリヒャルトが東京で生まれている。一家は1896年にハインリヒの国、当時のオーストリア・ハンガリー二重帝国へ帰国する。ハインリヒ・クーデンホーフは西ボヘミアに広大な土地を持つ伯爵家の当主で、ポビェジョヴィツェに城があった。長男が城を受け継ぐが第二次世界大戦後に領地は国に没収され、城は空き家となって荒廃した。2000年以降に修復工事が始まるが資金難でなかなか捗らず、内部は何も無い状態のままだ。ところが光子が暮らしていた頃の城の家具が、近くのホルショフスキー・ティーン城に保管されているという。

16世紀に建て替えられて以来、手を加えられていない貴重な城

スグラフィット模様の外壁で覆われたルネサンス様式の大きなホルショフスキー・ティーン城 スグラフィット模様の外壁で覆われたルネサンス様式の大きなホルショフスキー・ティーン城

ホルショフスキー・ティーンはチェコ・ビールでお馴染みのプルゼニュ(ピルゼン)とドイツのレーゲンスブルクを結ぶルートの途中にある。プルゼニュから国道26号線を南下していくと右手に城が現れる。鉄道ならシュタンコフ乗り換えで1時間20分ほど。城は少し高い所にあるので駅から20〜30分ほど歩く。想像していたより立派で、しかも巨大なことに驚いた。12世紀に建てられた最初の城は13世紀半ばにプラハ司教区の城砦として建て替えられる。16世紀初頭にポビェジョヴィツェ城(後にクーデンホーフ家の館となる)を所有していたロンシュペルク伯爵に買い取られ、現在の姿になった。17世紀前半にシュタイアーマルク(現オーストリア)のマクシミリアン・トラウトマンスドルファー伯爵がこの城を購入した。ポビェジョヴィツェ城とは10キロも離れていなかったのでハインリヒと光子は子供たちを連れてトラウトマンスドルファー伯爵家を頻繁に訪れていた。

トラウトマンスドルファー伯爵家と親しく交流していた光子たち

ポビェジョヴィツェ城から運ばれた大きなテーブルや壁の肖像画に目を見張る ポビェジョヴィツェ城から運ばれた大きなテーブルや壁の肖像画に目を見張る

第二次世界大戦が終わってチェコスロヴァキアが社会主義国になると、ポビェジョヴィツェ城は没収された。その時、クーデンホーフ家の家財道具は光子の長男によってトラウトマンスドルファー伯爵家に移された。光子は既に1941年に亡くなっていた。ホルショフスキー・ティーン城は国の財産となるが、内部を荒らされることなく社会主義時代を乗り越えた。1996年にチェコの文化記念碑となり一般公開される。ガイドツアーで見学できるが6つの部門に分かれており、全部見学するには5時間掛かるという。その1つの部門が「Mitsuko」だった。所要時間45分とあり、そんなに見るものがあるのか、と訝る。ところが見学してみると、確かに充実している。保存状態の良い大きな肖像画がいくつもあり、その中に着物姿の光子の肖像画が2つもあった。最初の広い部屋には食堂に置かれていたと思われる大きなテーブルがあり、果物皿や水差しなども光子たちが使っていたものとのこと。壁には光子と娘たちの大きな肖像画が飾られていた。

上の階にクーデンホーフ・カレルギー家の居間や書斎を再現

リビングにある光子の肖像画はロビーのものより小さいが、より艶やかな姿で描かれている リビングにある光子の肖像画はロビーのものより小さいが、より艶やかな姿で描かれている

階段を上がったリビングでは、窓辺に光子のもう一つの着物姿の肖像画が、左手の壁には“EUの父”であるリヒャルトの肖像画が掲げられている。奥には書斎があり、壁に光子や娘たちの肖像画がたくさん飾られていた。家具調度品、すべてがオリジナルでポビェジョヴィツェ城から移されている。一つ一つの家具や肖像画の説明、その間に光子やクーデンホーフ・カレルギー家の説明が入るため、見学は40分たっぷりかかった。充実した内容に驚くばかりだ。実は、2000年代になってチェコの国営TVが光子のドキュメンタリー番組をシリーズで放映している。それ以来、光子の知名度が高まって訪れる人が多いという。光子は日本人女性で初めて国際結婚をして外国に住んだ人。若くして未亡人となり、夫の財産を全て受け継いでクーデンホーフ・カレルギー家を守った。チェコの人たちも光子の生き方に感動し、その生涯をきちんと見つめようとしている。

データ

リビングの左手にリヒャルト・クーデンホーフ・カレルギー伯爵の肖像画があり、食器棚の中には光子が日本から持ってきた有田焼の壺や皿が飾られている リビングの左手にリヒャルト・クーデンホーフ・カレルギー伯爵の肖像画があり、食器棚の中には光子が日本から持ってきた有田焼の壺や皿が飾られている

ホルショフスキー・ティーン城
Zamek Horsovsky Tyn

住所:346 01 Horsovsky Tyn
開館時間:10:00〜16:00
入館料:80チェコ・コルナ( Mitsuko部門のみ )
※新型コロナウィルスの影響により現在休館中

 

※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2021/02/05)
※旅行前には必ず、外務省の海外安全ホームページで訪問地の安全情報についてご確認ください。
※この記事はガイドレポーターの取材によって提供された主観に基づくものであり、記事は取材時時点の情報です。
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