ミュシャの最高傑作、スラブ叙事詩

アールヌーボーの画家、アルフォンス ミュシャは、日本でもよく知られています。ミュシャはチェコ人ですが、フランスの女優、サラ ベルナールのポスターを描くなど、パリでその才能が花開きました。ですが、ミャシャは故国チェコを忘れることはありませんでしたし、チェコのために作品を書いています。チェコスロバキア(当時)の紙幣のデザインもしていますし、プラハ市民会館の市長の間は、まるごとミュシャの作品です。そして、ミュシャの人生最大の仕事は、「スラブ叙事詩」の製作でした。これはとても大きな作品です。

プラハ国立美術館に展示されているミュシャの傑作「スラブ叙事詩」 プラハ国立美術館に展示されているミュシャの傑作「スラブ叙事詩」

ズビロフ城のアトリエで、大作に挑む

カラフルで、どことなくポップなミュシャの作品を見慣れている方には、スラブ叙事詩のテーマや、その作品に使われている色に戸惑われるかもしれません。これが、ミュシャが人生で書きたかったものだそうです。スラブ叙事詩は、チェコ人を含むスラブ民族の歴史を描いています。ミュシャは、プラハから西へ車で2時間くらいのところにあるズビロフ城の一角にアトリエをかまえ、スラブ叙事詩の製作に挑みました。6m×8m の大きさのキャンバスを使った20点もの大作です。

プラハのヴェレトルジュニー宮殿で展示中

スラブ叙事詩は、とても大きな作品ですので、どこでも展示できるものではありません。ミュシャはプラハ市に寄贈するとしていたのですが、なかなか展示できるスペースがなく、長い間、モラビア地方のモラフスキークルムロフ城にありました。ここは、ぼろぼろの城ですが、スラブ叙事詩のためにスペースをとり、作品が痛まないように展示されていました。ですが、あまりにも不便なところなので、それほど多くの見学者はなかったのです。そして三年ほど前にプラハに移されました。現在は、プラハ国立美術館(ヴェレトルジュニー宮殿)で展示されていますが、常設ではなくて「特別展示」の扱いで、いつまで展示されるかはわからないという状況です。ですので、チャンスがあったら、ぜひご覧になってください。