- 前原利行
- 東京出身、神奈川在住。90年代半ばにバックパッカーで世界放浪したことをきっかけに、旅行ライターの道に。ガイドブック、雑誌、ウエブサイトなどで取材やライティング、編集を担当。行った国は90ヵ国以上だが、最近は国の数が増えないことと体力の低下に悩んでいる。他にも映画や音楽の仕事もちょこちょこしている。
出発エリアをに変更しました。
プラハ市街の南側にあるヴィシェフラドは、チェコ語で「高い城」という意味がある、ヴルタヴァ川に面した丘上のかつての城跡です。現在は公園で、週末には家族連れでにぎわう市民の憩いの場になっています。別記事の「スメタナの『わが祖国』の曲のタイトルにもなったプラハのヴィシェフラドとは?歴史と行き方」にも書きましたが、ここに最初に城が築かれたのは10世紀後半のこと。国王がプラハの司教に対抗するために、ここに居を構えた時代もあります。
プラハで最も古い建物という聖マルティン教会のロトンダ
地下鉄「ヴィシェフラド」駅を降りて川の方に向かって歩いていくと、自然とヴィシェフラドの丘の先の方に向かって行きます。公園と成っている敷地への入り口がターボル門です。ここを過ぎると、右側に観光案内所があるので、地図などをもらうといいでしょう。レオポルド門を過ぎると、円筒形の印象的なロマネスク建築が見えてきます。これは1100年頃に建てられた、プラハに現存する最古の建物と言われる聖マルティン教会のロトンダ(円形礼拝堂)です。このロトンダを過ぎて左に進むと、道の正面に聖ペテロ聖パウロ教会の尖塔が見えてきます。突き当たると、教会に隣接したヴィシェフラド民族墓地に出るので、その敷地を抜ければ教会の正面に出ることができます。
ヴィシェフラド民族墓地にあるスメタナの墓
チェコの偉人たちが眠るヴィシェフラド民族墓地は、週末には見学する人々の姿が絶えません。どこが誰の墓なのかは、教会のファサード(正面)側にマップが掲示されているので、それを見るとわかりやすいです。この墓地が作られたのは民族主義が高まった19世紀のこと。中心となるのは「スラヴィーン」と呼ばれるチェコ民族に貢献した人たちのための霊廟です。他にも、『わが祖国』などでチェコを代表する作曲家スメタナ、同じく作曲家のドヴォルザーク、「ロボット」という言葉を生み出した作家のカレル・チャペック、画家のミュシャ、詩人のヤン・ネルダなどのお墓があります。墓石だけでなく回廊も凝っているので、ぜひ立ち寄ってみてください。
聖ペテロ聖パウロ教会の柱に描かれた宗教画だが、アールヌーヴォー調
聖ペテロ聖パウロ教会は、再建時の13世紀に、ロマネスク様式からゴシック様式に建て直されました。ただし内部は19世紀末に大規模に修復されたので、美しいステンドグラスや、ミュシャのようなアールヌーヴォー調の壁画も描かれています。美しい教会なので、ぜひ中に入って見学してみてください。教会の南側は芝生の広場になっており、記念碑的な彫像が点在しています。さらに西へ進むと、ヴルタヴァ川を見下ろす遊歩道に出ます。ここからの眺めはなかなか素晴らしいものですよ。最後は坂道や階段などで、ヴルタヴァ川沿いまで下り、トラムで旧市街へ戻るといいでしょう。
※この情報は2020年1月現在のものです。内容には変更があるかもしれないので、最新情報は該当のホームページなどでご確認ください。
●ヴィシェフラド
[URL] http://www.praha-vysehrad.cz/?l=9(英語)
●観光案内所
[開]4〜10月9:30〜18:00、11〜3月9:30〜17:00
[休]なし
●聖ペテロ聖パウロ教会
[URL]www.kkvys.cz
[開]4〜10月10:00〜18:00(木曜のみ〜17:30)、11〜3月10:00〜17:00
[料金] 50コルナ(約240円)
※1チェコ・コルナ=約4.8円(2020年1月現在)
※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2020/02/16)
※旅行前には必ず、外務省の海外安全ホームページで訪問地の安全情報についてご確認ください。
※この記事はガイドレポーターの取材によって提供された主観に基づくものであり、記事は取材時時点の情報です。
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