旧約聖書に出てくるエジプトの山

モーゼが十戒を神から授かったというシナイ山は、その名の通りエジプトのシナイ半島にあります。旧約聖書では、エジプトから民を連れて出たモーゼが、この山のふもとに民を残し、ひとりでこの山に登って神から2つの石板に刻まれた10の戒律を受け取ります。しかしモーゼが山に登っている40日の間、人々は禁じていた偶像(金の子牛)をあがめ出し、決まりを破ってしまいました。下山したモーゼは決まりを守れなかった民(約3000人)を皆殺しにしたといいます。

モーゼが十戒を神から授かったシナイ山で、ご来光を見る(前編) モーゼが十戒を神から授かったシナイ山で、ご来光を見る(前編)

世界的な巡礼地・聖カテリーナ

さて、モーゼの話は、ユダヤ教徒の聖典「トーラー」、キリスト教では「旧約聖書」、イスラム教では「コーラン」の中に含まれます。モーゼは3つの宗教に共通するという“偉大な預言者”なのです。そしてハリウッド映画『十戒』により(あの紅海が2つに割れるシーンが有名な)、欧米では知らぬものはありません。だからこのシナイ山は、世界的に有名な観光地(巡礼地)といっても理解できるでしょう。その頂上でご来光を見るというのが、旅行者の定番です。シナイ山(現地では「ガバル・ムーサ」と呼ばれています)は、紅海沿岸のリゾート地ダハブからバスで2時間半の内陸にある、セント・カテリーナの町外れにあります。ダハブからは送迎のみのバスツアーも出ています。

登山道を上り始める

町のホテルに泊まって、深夜の2時半という真っ暗な中、山の麓の登山道入口に向かいました。ふもとにある駐車場はすでにツアーバスでいっぱいです。着いたのは3時ぐらいでしょうか。すでに人は少なく、「出遅れた」と思いました。頂上までは、3750段の階段と、ラクダで上って行ける道があります。階段はきついので、ラクダ道を選びました。頂上まで2時間の上りです。

ご来光に間に合うか?

暗い道をとぼとぼひとりで上って行きます。遠くに他の登山客の懐中電灯の明かりが見えます。「ご来光に間に合わないのではないか」と少し焦り気味で早歩きになりました。歩き始めて15分ほどで、ようやく最後部のグループに追いつきました。欧米からの年配の人たちだけのグループです。追い越して、まだ間に合いそうだと少し安心しました。そのグループはガイドが引き連れていたので、時間的に大丈夫と思ったのです。道は土と石ころだらけですが、比較的緩やかな上りです。ゆっくり歩けばさほど疲れないのかもしれませんが、私はペースを下げずにすいすいと、いくつかのグループを追い抜いて行きました。時おり、観光客目当てのラクダ引きが声をかけてきます。途中にはいくつか茶屋がありました。上り始めて1時間。茶屋で休憩し、熱いチャイ(甘い紅茶)を飲みました。(後編へ続く)