バルト海リガ湾に浮かぶキヒヌ島

北欧・フィンランドの対岸にあるエストニア。その有名なリゾート地パルヌから船で2時間のところに「生きた博物館」と呼ばれる伝統の島、キヒヌ島があります。東西3.5キロ、南北7キロの小さな島で、約400人が住んでいます。冬になると海は完全に凍り、エストニア本土との交通は絶たれてしまいます。島に人が住み着くようになったのは14世紀ですが、盛んだったアザラシ漁は18世紀ころから衰退し、以降、島の男たちは船乗りとして働くようになったそうです。そのため1年のほとんどを、女と子供たちだけで過ごすこととなったこの島では、女性だけの独自の文化が育まれました。編み物、刺しゅうなどの手仕事や、自分たちで織って身に付けるスカート、歌、踊りなどです。これらすべては2003年にユネスコの無形文化遺産に登録されました(この無形文化遺産については、別記事「なぜスカートの柄がユネスコ無形文化遺産に? エストニアのキヒヌ島」で紹介しています)。

伝統的なスカートを履いて暮らすキヒヌ島の女性たち 伝統的なスカートを履いて暮らすキヒヌ島の女性たち

どこを取っても絵になる島の風景

私が初めて訪れたのは2017年6月。キヒヌ島のフェリー乗り場から車に乗って島の中心へ向かいました。まずここで待っているのは、絵本のように美しい風景です。白樺や赤松が茂る森を抜けると、見渡す限りの草原! その向こうには赤や黄色の壁をもつ民家が点在し、家の周りには色とりどりの草花が咲き乱れています。コンクリートや人工的な素材の建物は一切見当たりません。途中で墓地にも立ち寄りました。赤松の木々に囲まれた墓地は、それぞれの十字架のそばに草花が植えられ、よく整備された公園のようでもありました。こんな美しい墓地で眠る島の人々を羨ましくも思いました。

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眩い新緑の中、ファームガーデンでいただくヘルシーランチ

島の中心にあるキヒヌ博物館やロシア正教会教会を見学した後は、待ちに待ったランチタイム。民家のファームガーデン(Rannametsa Farm Garden)で、伝統的な家庭料理をいただきました。メニューはごくシンプルです。2種のベリージュースに、ダツといういう魚でダシを取ったスープ、ダツのスモークグリル、キヒヌブレッド(黒パン)と白パン、ブルーベリージャム。スープは、日本の味噌汁の煮干しと同様、魚でダシを取りますが、魚は取り出さずにそのままいただきます。ジャガイモやディル系のハーブを加えた優しい塩味のスープです。ダツのスモークグリルは、太刀魚のような淡白な味。青い骨が特徴の魚です。清らかな空気に包まれ、緑に輝くガーデンで味わう滋味深いスープや心温まる料理の数々。バルト海の美しすぎる小さな島で、癒しのランチ体験はいかがでしょうか? キヒヌ島へは、首都タリンからオプショナルツアーが出ています。

左はコケモモ入りウォーター、右はダツスープ 左はコケモモ入りウォーター、右はダツスープ