中世が息づくタリン旧市街は紛れもなく「おとぎの国の世界」

「バルト三国ってどこ?」という方のために簡単な地理と歴史の説明から。東はロシア、西はポーランドに接し、北欧フィンランドの南のバルト海沿いに北からエストニア、ラトビア、リトアニアと小さな国が続きます。その地勢から様々な国の支配下に置かれましたが、1991年に旧ソ連から独立を回復しました。面積は3国合わせても日本の3分の1にも満たない小さな国々です。そんな国に私が初めて訪れたのは2016年12月、エストニアの首都タリン歴史地区(世界遺産)、夜のクリスマスマーケットでした。旧市街は城壁に囲まれており、13〜15世紀に建てられた建築が保存の良い状態で残っています。赤いとんがり屋根の塔をもつヴィル門を抜けて、市が開かれるラエコヤ広場へ。石畳を歩いて向かう数分の間ですが、目にするすべては古の中世ヨーロッパ! レストランの呼び込みスタッフも当時の衣装を身に纏っています。他のヨーロッパでは決して味わったことのない、得もいえぬタイムスリップ感を体感しました。

14世紀に建てられたヴィル門は歴史地区の玄関口 14世紀に建てられたヴィル門は歴史地区の玄関口

1441年から続くクリスマスマーケット

「クリスマスマーケットで売っているものはツリーの飾りがメインかな」と筆者は思い込んでいましたが、それは大間違いでした。とくに1441年から続くタリンのクリスマスマーケットでは、売っているものも雰囲気も別格です。時期も11月下旬から1月第1週までと、クリスマスが終わった後まで続きます(毎日10〜19時・飲食〜22時)。ツリー飾りのみならず、プレゼント用ギフトやエストニア各地から集まる美しい手工芸品、地元の人がサウナに入るときに被る帽子まであります。クリスマスの時期しか食べられないジンジャークッキーや豚の血入りソーセージ、鴨のローストとベイクトポテトの盛り合わせ、チーズ、そして寒い体を温めてくれるウォッカ入りベリージュース、ホットワインなど・・・つまみ食いをしながら回れて、テンションはマックス! 土地の人々は、今年はどんなツリーの飾りにしようか、プレゼントは何にしようと毎日のように見て歩き、この季節を楽しむそうです。

タリンがいちばん活気づくのはクリスマスの季節 タリンがいちばん活気づくのはクリスマスの季節

歴史のぬくもりを感じるオーナメントにうっとり

バルト海に面したタリンは、地中海から北欧、ロシアまでを結ぶ中世の交易都市として栄華を極めました。交易から戻った商人たちがクリスマスを過ごすため各地から品々を持ち寄ったのがこのマーケットの始まりです。今でもブースはすべて木造り。あるオーナメントのブースに入ってみると、随分とデコボコとしたレトロな形のサンタが。店主に聞くと、15世紀から続くデザインだそうです。ビーズのリースや天使のガラス細工も味わい深いハンドメイド。ツリーは飾らないけど、全部欲しくなります。店の人たちも気さくでカメラを向けても笑顔で返してくれます。ゴシック様式の建物に囲まれた広場で、何百年も変わらず続いているであろう素朴なマーケットの光景を目にして、私は一気にエストニア・タリンの街に魅了されてしまいました。もし、この季節にヨーロッパを訪れる計画を立てているなら、タリンはおすすめですよ!

15世紀から変わらぬデザインのサンタクロースも! 15世紀から変わらぬデザインのサンタクロースも!