フランスのアルプス山麓

ヨーロッパを東西に横断するアルプス山脈。夏ともなれば、北側のスイスでは、観光客で大にぎわいです。マッターホルンの麓の町、ツェルマットなど、まるで週末の原宿のようなにぎわいで、驚かされます。ところがアルプスの南側、フランスサイドに回れば、そこまでではありません。この地方は、「ローヌ・アルプ」と呼ばれ、中心地は美食の町リヨンなのですが、アルプス付近の町々は、実はスイスのジュネーブのほうが近いくらいなのです。しかし旅行者の常として、ジュネーブに立ち寄る人はレマン湖の北側に位置するローザンヌに向かうのが一般的なコースなので、レマン湖の南、アルプスの南西に位置するローヌ・アルプ地方は、フランス国外の人にとっては、ちょっとした盲点になっているのです。こんな地方で、今や日本人の誰でも知っている町があります。それがエヴィアン。日本では『エビアン』という表記で、ミネラルウォーターが売られていますよね。

エヴィアンはどんな町か?

そう、ミネラルウオーターの『エビアン』は、フランスの町の名前だったのです。正式名は「エヴィアン=レ=バン」。8000人ほどが住む、こじんまりとしたレマン湖畔の高級リゾート地です。「レ=バン」とはフランス語では「風呂」「湯船」という意味ですが、ここでは鉱泉が湧くところに使われ、近隣にも名前の後にこの名称が付く町がいくつもあります。アルプスの水が豊富にあるところなのですね。パリからはTGVでBellegardeで乗り換え、所要約4時間半。リヨンからは直通急行で2時間40分程度です。ジュネーブからだと、ローザンヌまで列車で向かい(約1時間)、船で30分です。世界的な大企業エビアンの本社があるせいか、町はとてもエレガントです。パリでも見られるような、19世紀から今世紀初頭に建てられたアールヌーボー様式の建物も多く、なかなか美しいです。できればこの町には、船で湖から来るのがいいでしょう。アルプスを見ながらの船での小旅行は、なかなか素敵です。

滞在しやすいエヴィアンの町

レマン湖畔から街の中心地までは、夏季期間中、エビアンが提供する無料のケーブルカーが出ています。20世紀初頭のもので木製、レトロ感がいいですね。そして向かうのがカシャの泉です。これがエビアンの水の源泉の一つです。新鮮で冷たい水が、おいしいのは間違いありません。持って来たペットボトルを空にして、水を汲みましょう。24時間無料です。また駅のすぐそばにはエビアンの工場があり、5月中旬から9月中旬まで見学できます(要予約)。そして山の上の方にあるのが、エビアン・リゾート。広大な敷地内にはスパと2軒のリゾートホテル「ロイヤル」と「エルミタージュ」があります。いかにも豪華な様子の町ですが、レマン湖畔にもホテルは多く、スイスほど値段が高くありません。またレストランでもランチならセットメニューで15ユーロ程度でいただけ、とても良心的です。美味しい水も無料で、しばらく滞在したくなるリゾートですね。