アヴィニョン橋は踊れないし、渡れない?

南フランス、アヴィニョンの旧市街にあるサン・ベネゼ橋は、またの名をアヴィニョン橋といいます。「アヴィニョンの橋の上で踊ろよ、踊ろよ……」と続く童謡で知られるようになりました。実際に訪れてみると、橋幅はさほど広くありません。解説によると、当時の民族舞踊は大きな輪になって踊ったことから、この橋の上ではなく、たもとで踊っていたのだろうとのこと。さらに、驚くことがもう一つ。「橋」という名が付いていますが、下を流れるローヌ川を渡りきることができない「橋」なんです。

ロシェ・デ・ドン公園の展望から見えるサン・ベネゼ橋 ロシェ・デ・ドン公園の展望から見えるサン・ベネゼ橋

「橋」なのに、ローヌ川を渡ることができない橋?

この橋が建造されたのは、1177年から1185年。ローヌ川を渡るため、アヴィニョンの町と対岸に架けられていました。それは過去のこと、現在は川を渡りきる所まで続いておらず、対岸へ渡ることができません。ローヌ川の上流にダムを作ってからは川の水は穏やかに流れていますが、以前は洪水が起きたり、戦争の被害に遭ったりで橋は破壊されていきました。幾度か修復も行われましたが、17世紀以降は実用的には使わず、修復もされなくなりました。そのため、対岸には渡れない「橋」となってしまったのです。

橋を造る起源は、羊使いの少年の伝説から始まった

その建造の起源には、聖ベネゼの伝説が残っています。羊使いの少年だった彼のところに神からお告げがあり、彼はこの橋を造ることを決意します。そのとき、大人の男たちが何十人がかりでも全くビクともしなかった大きな岩を、ベネゼは持ち上げて川へ投げ込んだのです。その石が橋を造る礎となりました。その驚くべき出来事を見ていた町の人々は感動し、橋の建設費用を寄付したそうです。彼の墓が橋脚に埋葬されていましたが、現在は他の場所に移され、彼の名が付いた礼拝堂だけが残っています。

撮影のベストスポットは、隣の橋からか、川沿いの遊歩道

写真撮影のベストスポットの一つは、橋の上から。当初22個あったアーチは現在は4個しか残っていませんが、その上を歩いて行くことができます。橋の先端まで行って振り返ると、城壁内の大聖堂の上に建つ聖母子像や立派な教皇庁の姿が見えます。また、ベネゼ橋の全貌を写真に収めるなら、一つ南側にあるDaladier橋の上から、もしくは川沿いの遊歩道からがきれいに写ります。下に橋を見るなら、ロシェ・デ・ドン公園からの展望がおすすめです。