AOCワイン「カオールの黒」のふるさとへ

「カオールワイン」を飲んだことがありますか? 近年では日本国内のレストランでも取り扱っているお店が増えてきましたが、その産地カオールへ行ったという人は、あまり多くないでしょう。フランス南部のロット県の県庁所在地であるカオールへは、列車でならパリから約5時間、南部の主要都市トゥールーズからだと約1時間ほどで到着します。私はレンタカーで行きましたが、周辺には「フランスの美しい村」に認定されたかわいらしい町が点在していて、楽しいドライブです。ちなみに、目当てのカオールは、フランス文化省により「芸術と歴史の町」に認定されています。

ワイン好きなら一度は訪れたい、フランスのミディ・ピレネー地方「カオール」 ワイン好きなら一度は訪れたい、フランスのミディ・ピレネー地方「カオール」

おいしい上に、健康にもいいカオールワイン

カオールのワインの特徴は、力強さとエレガントさ。赤というより黒に近い非常に濃い色のため、「黒ワイン(ヴァン・ノワール)」とも「カオールの黒」とも称されています。透明感のほとんどない色合いには、最初は少しびっくりするかもしれませんが、味わいは濃密で複雑。ただ渋いだけではないんですね。渋みを特徴づけるポリフェノールがきわめて豊富なため、健康にもいいんですよ。動物性脂肪を多く含む肉料理やチーズと合わせると、ポリフェノールが悪玉コレステロールの吸収を抑えてくれるのです。

小さい町でも世界遺産があります!

観光地としてのカオールの魅力は、美しくこぢんまりした街並みと、歴史ある建造物です。町のシンボルは、ロット川にかかるヴァラントレ橋。3つの要塞のような塔を持ち、中世の趣を感じさせる威風堂々たるたたずまいは感動的です。この橋はサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路の要所でもあり、世界遺産に登録されています。

ここを見たらあなたもロマネスク様式に夢中

また同じく世界遺産のサン・テティエンヌ大聖堂も必見スポットです。教会建築に興味のない人でも、ここのロマネスク様式の大聖堂を見れば夢中になってしまうでしょう。おもしろい彫刻は北扉口に集中していますから、ぜひそちらをまわってみましょう! タンパン(玄関頭上のアーチ部分)といい、アーキヴォルト(タンパンの外縁部分)といい、ガーゴイル(彫刻のある雨どい)やモディリヨン(持ち送り)といい、びっしり施された彫刻には思わず時間を忘れます。もちろんどれも宗教的でありながら、ユニークで素朴で、つい微笑んでしまうような見事な彫刻なのです。

ワイン好きなら旅の思い出は永遠に続きます

この他にも、美術館や博物館もあり、パリの物価を考えたら驚いてしまうほど安い値段で宿泊と美食を楽しめるのです。そして町外れから広がるブドウ畑。ワイン好きにはこの畑の風景だけでもすでにうっとりですね。旅の思い出は帰ってからもずっと続きます。私は、レストランのワインリストでカオールワインを見つけたら、無条件に注文しています。遠いミディ・ピレネー地方の美しい村々やカオールでの滞在に、心がたちまち戻っていくからです。中世のフランスを今も残しているカオールへ、ぜひどうぞ!