パリを出て、田舎へ行ってみよう

光と陰を自在にあやつるモダン建築や、思わず足が止まるショーウィンドウのディスプレイ。地方を旅したあとでパリへ戻り、都会の洗練を見てまわると、「田舎もいいけど、やっぱりパリはいいなあ」と思います。でも、パリとフランスの田舎は、そんなに切り離されたものなのでしょうか?ふとそう思いついた私は、パリのモンパルナス駅からぼろぼろの国鉄在来線に揺られて南西に約1時間、古都シャルトルの大聖堂へ行ってみました。

珠玉のキリスト教建築、シャルトル大聖堂へ(前編) 珠玉のキリスト教建築、シャルトル大聖堂へ(前編)

駅から徒歩8分、そびえ立つ大聖堂に魅了される!

ゴシック建築の結晶と呼ぶにふさわしい、電車の窓からその姿が見えてきただけでも胸が高鳴るような教会です。通称は「シャルトル大聖堂」ですが、正式な名称は「ノートルダム大聖堂」といいます。10から12世紀ごろのロマネスク教会に比べて、12から13世紀に隆盛を誇ったゴシック教会は、人間的スケールをはるかに超えた巨大さが一番の特色です。

正面ファサードに注目

周囲の低層建築物から度外れに飛び出した大きな聖堂は、正面に立ったときに「あれ?」と気づくことがあるはずです。正面のファサードにある二つの尖塔が、左右非対称なのです。向かって右の塔は12世紀のロマネスク様式の名残りをとどめるシンプルな形、左側は16世紀に改築された、複雑・華麗なゴシック様式。まずはその奔放さに驚きます。

「シャルトル・ブルー」をこの目で見た感動……!

多くの西欧のキリスト教会建築に見られるように、このシャルトル大聖堂も、上から見ると建物そのものが十字架の形を成しています。華麗なステンドグラスが、当時の字が読めない人々にもキリストの説話を物語ってきます。ステンドグラスの解説書(日本語版あり)をその場で購入し、何時間もガラス絵を読み解くのにふけりました。ここのステンドグラスは、800年前の建設当時のものが、フランスでは唯一ここだけにほぼ完全に残っているのです。特徴は、比類なく美しい青色。「シャルトル・ブルー」と讃えられています。その青に取り囲まれ、青を見つめていると、「よくぞ壊れずに現代まで残ってくれていたものだ」という感動が込み上げてきます。(後編へ続く)