フランスのアルザス地方はどんなところ?

フランスのアルザス地方をご存知ですか? フランス北東部、ライン川をはさんでドイツと国境を接する一帯です。面白いもので、建物や食文化、雰囲気がどことなくドイツに似てくるのです。大陸を旅していると、民族や文化のグラデーションのような移り変わりが楽しいですね。ライン川の西側南北にそびえるのがヴォージュ山脈、その麓で栽培されているのがアルザスワインとなるブドウです。もっとも大きな町は、欧州議会のあるストラスブール。ドイツのシュツットガルトやフランクフルトもさほど遠くありません。ストラスブールが「街道の町」と呼ばれる所以です。ドイツの主要都市と、パリとの中継地になるのです。パリまで高速鉄道TGVで2時間半の距離です。

町も美術館も素晴らしい〜フランスのコルマールで怪獣の絵を見る 町も美術館も素晴らしい〜フランスのコルマールで怪獣の絵を見る

ジブリ映画の舞台になった町

アルザスには小さくかわいい町がたくさんあるのですが、中でも人気が高いのが、コルマールです。宮崎駿さんの某ジブリ映画の舞台になりました。ラインから流れ込む水路が街中を流れ、16、7世紀に建てられた木組みの家々がならぶ街並みは、さながらおとぎの世界に迷い込んだようです。フランスは石造りの家だと思っていた固定観念が、ドイツに近くなり、疑わしくなるのです。料理もドイツと似たような、ソーセージや塩漬けキャベツが名物ですし。町をゆっくり散策したら、必ず寄っていただきたいところがあります。それがウンタ―リンデン美術館です。

「イーゼンハイムの祭壇画」を観る

ここでは16世紀初頭に描かれたグリューネヴァルトの「イーゼンハイムの祭壇画」に尽きるでしょう。この祭壇画は観音開きで3層構造になっています。1面であまりに生々しくむごたらしい「キリストの磔刑」、2面には打って変わって光が差し込む明るい背景となり、「受胎告知」が描かれています。しかしここでヘンだなと思うのです。イエスの誕生を祝して楽器を奏でる女性や天使たちが、なかば怪獣の顔をしているのです。

怪獣たちに誘惑される聖アントニウス

そうして3面には、ついに出ました怪獣たちの数々が。おどろおどろしいのですが、どことなくユーモラスです。題は「聖アントニウスの誘惑」。1面の「キリストの磔刑」が注目されていますが、僕はこちらのほうが好きです。聖アントニウスは、修道院制度の創始者で、当時人気の高かった聖人です。彼が怪獣(すなわち異教、あるいは病気など災厄)から誘惑されているのです。この祭壇画が施療院に置かれていたことから、病人たちを励ましていた画だと考えられています。それにしてはドギツイなあと、色の鮮やかさも相まって、唸ってしまう作品なのです。いずれにしても、この祭壇画を観るためにだけに、コルマールを訪れる人さえいるほどです。見ればガツンと来ること請け合いです。ぜひ一度ホンモノをご鑑賞ください。