モネが少年時代を過ごし、全盛期から晩年までを過ごした地方

(前編より続く)モネはパリ生まれですが、5歳でノルマンディー地方のル・アーヴルに移り住みます。そして40歳にして戻ってきたのが、同じノルマンディー地方のジヴェルニーです。ジヴェルニーへは、パリ・サン・ラザール駅から各駅停車でヴェルノンまで行き(約45分)、バスでジヴェルニーに向かいます。ここにはモネが暮らした家と、「モネの庭」があるのです。浮世絵と日本庭園に魅せられたモネは、40代で絵が多少売れ始めると、絵を描くよりも庭を造ることに熱中したと言われています。そこには池があり、睡蓮の花が咲くのです。どうして睡蓮の花だったのでしょうか? それは睡蓮が池に咲くからだと思います。光の画家モネが、水に反射する光の美しさを見逃すはずがありません。モネが「光と水の画家」とも呼ばれるのは、睡蓮を題材にしたからでしょう。
●モネの家:fondation-monet.com

ル・アーヴルも行ってみたい

モネの家は、4月から10月まで開館しています。庭には季節の花々が咲き誇り、池には睡蓮の花が咲いています。家の中はレモンイエローで配色され、数々の浮世絵が展示されています。今でこそスケッチと言って、外で絵を描くことが普通になっていますが、当時は絵を描くと言えば、室内が一般的でした。そんな時代にあって、モネは戸外でスケッチし始めたのです。そんな手法をモネに教えたのが、ウジェーヌ・ブーダンです。ブーダンもまたノルマンディー地方生まれ。父は水夫で、幼いころには父の船に同乗し、海原を見る毎日だったのでしょう。ジヴェルニーからほど近くに、この地方の中心地ル・アーヴルがあります。こちらも立ち寄ってみたいです。モネの代表作『印象・日の出』を描いたと思われる場所には、パネル表示が置かれています。またアンドレ・マルロー美術館は必見です。
●アンドレ・マルロー美術館:www.muma-lehavre.fr/fr

オンフルールも外せない

マルロー美術館にはモネはもちろん、ブーダンの作品も多数展示されています。ブーダンは「空の王者」と称されました。画面の半分から3分の2が空で占めらているのです。そう、船に乗って海原に出てみると、世界の半分以上は空になります。そんな子供のころの心象風景が、作風になったのでしょう。また海は、光と水がことのほか美しい場所です。すなわち、印象派とは、ノルマンディーの光と海原が生んだのではと、想像たくましく考えられてくるほどです。近くのエトルタは、怪盗ルパンの家があることで有名ですが、アヴァルの断崖は、モネもスケッチしています。そして、ブーダンの故郷オンフルールまで足を延ばしてみましょう。プロ、アマ問わず画家たちが大勢、港で絵を描いています。この町まで来ると、ブーダンとモネが、印象派の土台を作ったように思えるのです。