- 夏樹
- 音楽修行に渡仏し20年。教会オルガニストとして活動する傍ら、日本の女性誌やWEBにフランスの新鮮な話題を常時発信。在仏日本人向けコミュニティー誌「Bisou」や、海外で活動するライター仲間が集るメルマガ「地球はとっても丸い」の編集にも携わる。
出発エリアをに変更しました。
キスしている人たちが多いので目の遣り場に困る美術館
どちらかというと、作品よりも、その奔放な人生の方が話題になってしまう、ジョルジュ・サンドですが、フランス文学史の流れの中では、女性として初めてフィクションを発表した重要な作家。19世紀初頭、女性はコルセットで身体を締め付けて長いスカートをはいていた時代、由緒正しい女性は、夫や父、兄に付き添われて外出するのが習慣で、ひとりで外を歩いたりすることはありませんでした。そんな風潮のなか、彼女はジョルジュという男性の名前をペンネームにし、葉巻を吸い、男装してひとりで劇場やカフェなどに出入りしていました。
このあたりの子どもたちが集るsaint-georges駅前の公園
そんなスキャンダルな振る舞いを通して、彼女が主張したのは、女性にも男性と同じ社会的チャンスをということ、いわば、フェミニスト運動の先駆けでした。でも女性としての人生も充分満喫、作家アルフレッド・ド・ミュッセや作曲家ショパンの恋人でした。とくに、ショパンとは、友人から愛人関係へ、最後は母と息子のような関係へと展開、喧嘩をしたり、涙ながらに仲直りしたり、どこのカップルとも同じ波乱に満ちた関係で、10年を共に過ごしたということです。
三角形をした小さなこの広場、昼食時にになるとテラスで食事する人々でいっぱい
Musee de la vie romantiqueロマンチック美術館は、同時代、オランダ出身のロマン派画家、アリ・シェフェールのアトリエ兼住居でした。近くにショパンやリスト、画家ドラクロワも住んでいて、シェフェール宅では芸術家や文人が集って知的な会話を楽しむ「サロン」がしばしば開かれました。そんなわけでサンドもこのサロンの常連、没後、孫娘からの寄贈でサンドの遺品がこの美術館に所蔵されました。男装をしていたと同時に思いっきり「女」でもあった彼女のジュエリー類、ショパンとサンドの手の石膏もあります。
Les cakes des Bertrandのサロン・ド・テ
オーギュスト・シャルパンチエ作の有名なサンドのポートレートのある部屋では、ショパンのワルツやノクターンを聞くことができます。ルーヴル美術館のような名作はないけれども、芸術家の普段の生活ってこんなものだったんだ、って感じることができる、そういう意味で、貴重な体験ができる場所。こじんまりした庭にはテラスがあって、4月18日からは、日本でも評判のLes cakes des Bertrandのサロン・ド・テになります。本店はここから数歩の7 rue Bourdaloueに。
このあたりは今でもクリエイティブな人々が住んでいる。この邸宅のひとつにジャンポール・ゴルチエが住んでいるとの噂
■ Musee de la vie romantique
住所:16 rue Chaptal,75009 Paris
休館日:月曜日
開館時間:10時から18時
URL:www.vie-romantique.paris.fr
常設展は入場無料、企画展は7E
■ Les cakes de Bertrand
URL:http://www.lescakesdebertrand.com/
※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2008/03/25)
※旅行前には必ず、外務省の海外安全ホームページで訪問地の安全情報についてご確認ください。
※この記事はガイドレポーターの取材によって提供された主観に基づくものであり、記事は取材時時点の情報です。
提供情報の真実性、合法性、安全性などについては、ご自身の責任において事前に確認して利用してください。
エイビーマガジンについて