フランス料理の基礎は、16世紀に生まれた

時は16世紀、イタリアのトスカーナ地方ではメディチ家が絶大なる力を持ち、一家からローマ教皇クレメンス7世を出すほどでした。一方で、絵画、建築、彫刻などが花開き、そんなルネッサンス文化がヨーロッパに広まっていきます。クレメンス7世は、メディチ家のカトリーヌ・ド・メディシスをフランス王アンリ2世に嫁がせます。カトリーヌが運んだのはルネサンスで花開いたイタリア芸術に止まらず、洗練された料理もありました。それまでの焼いた肉をナイフで切って、手づかみで食べるようなフランスの習慣が、ナイフとフォークを使うようになります。焼いた肉とパイやパテだった料理も変わっていきます。何よりソースが導入され、フランス料理の基礎となる概念が定着したのです。代表的なソースがベシャメルソースです。またクレープやシャーベット、砂糖菓子なども持ち込まれました。

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贅を尽くすオートキュイジーヌ

カトリーヌの後を引き継いだのがブルボン王朝のルイ14世です。豪華なオートキュイジーヌと呼ばれる宮廷料理が、毎晩のように王の食卓をにぎわします。そのフランス料理の王道を現代に伝えるのが、アラン・デュカス氏。パリ中心部モンテーニュ通り沿いの「ホテル・プラザ・アテネ」内に「アラン・デュカス」を出しています。その味は、重厚な上に重厚、しかも洗練されていると称されています。フランス宮廷料理を現代に蘇らせたのです。デュカス氏は、史上最年少33歳でミッシェランの三ッ星を獲得しました。話を元に戻します。やがて宮廷料理に刃を向いたのが、貧しい庶民たちでした。フランス革命が起こったのです。王宮にいた大勢のコックたちも王宮を逃げ出します。そこで市中にコックたちが次々にレストランを開業、一般の人々でも、さまざま料理が口に入るのようになったのです。

レストランもフランスが発祥だった!

ちなみにレストランとは、1765年にフランス人のパリシーが考案したブイヨンスープを出す店が、店名を「レストラン」としたことが始まりだそうです。意味は「元気を回復させる(ブイヨンスープ)」。そしてパリには今でも、1686年開業のカフェ・ル プロコップ(Le Procope)が残っています。食事もできますので、記念にどうぞ。その後ナポレオンの時代には、フランス料理は戦争と共にヨーロッパ中に知れ渡り、また気候の寒いロシアで料理が冷めやすいことから、現在のコースメニューが考案されて、パリに定着させたのがシェフのオーギュスト・エスコフィエです。彼はまた、友人のリッツとホテル・リッツなどを開業させ、レストランを指揮し、フランス料理のバイブルとも言われる『料理の手引き』を出版、フランス料理を確たるものにしたのです。こんな料理の歴史を知ってから、フランス料理を食べると、より一層味わい深いかもしれません。