約30年間の間に花開いたアール・ヌーヴォー様式

アール・ヌーヴォーとは「新しい芸術」という意味のフランス語で、19世紀末から20世紀初頭にかけての約30年間あまり、ヨーロッパを中心におこった芸術運動です。その特徴は、植物や昆虫など自然の有機的なモチーフを、曲線と組み合わせた独創性あるデザインです。ポスターなどのグラフィックデザインはもちろん、手工芸品、そして家具や建築まで、当時の新しい素材であった鉄やガラスなども積極的に取り入れて様々な作品を生み出しました。

パリで楽しむアール・ヌーヴォー建築巡り パリで楽しむアール・ヌーヴォー建築巡り

今もパリの中で生き続けているアール・ヌーヴォーの建築

今も熱烈な愛好者の多い、アール・ヌーヴォー様式ですが、パリでは美術館の中だけでなく、街中に当時の建築がそのまま残っている場所があります。パリを旅行で訪れる機会があったら、人々の生活の一部として今も魅力を放っているアール・ヌーヴォー建築の魅力を実際に見てみましょう。

名建築が集まる16区のラ・フォンテーニュ通り

まず訪れたいのが、パリ16区、パッシー地区の南にあるラ・フォンテーニュ通りです。アール・ヌーヴォーの巨匠といわれた建築家エクトール・ギマールが手がけた建築物がこの周辺に現存しています。「ラ・フォンテーニュ・アガー集合住宅」や「カステル・ベランジェ」の鉄の門など、アール・ヌーヴォーを語る上で重要な代表作が、今も住宅として使われています。整然としたパリの石造りの町並みの中で、時を経ても、美しくどこか官能的でもある装飾的なデザインは今も色褪せていません。またすぐ近くのモーツアルト通り122番には、ギマールが住んでいた建物もあり、こちらも必見です。

メトロに乗る前に見上げてみよう

もう一つ、旅行中に楽しめるアール・ヌーヴォー建築があります。それは地下鉄・メトロの入口。現在ではほとんどが改築されていますが、アール・ヌーヴォー様式のものが今も数カ所あります。メトロ12番線の「アベス駅」の入口は、1900年パリに初めてメトロが開通した当時から、そのままの姿で残っている貴重な建築物。ガラスの天蓋を持ち、鉄の骨組みは植物や花をモチーフにしており、優美で美しいデザインは、同じくギマールの手によるもの。こんなに美しい建築が公共交通機関の一部として今も使われている事に驚きます。是非観光の途中に足を止めてじっくりと鑑賞して欲しい場所です。