他人の暮らしのためにもなるショッピング

洋服や身の回りの雑貨などの買い物は、どこか“自己満足”の行為のように思えることがあります。それらは自分の「着たい」「使いたい」が、購入を決める究極の判断基準になるためでしょうか。ところが、“ショッピングをすることで社会貢献ができる”という夢のようなセレクトショップがフランスにあります。お洒落なパリジャンやパリジェンヌ御用達のマレ地区にある「メルシーmerci」です。

フランスのセレクトショップ「メルシー」で買い物をして、社会を考える フランスのセレクトショップ「メルシー」で買い物をして、社会を考える

マレ地区に新たな風を呼び込んだ「merciメルシー」

メルシーは2009年にこの地にオープンしてから、すっかりマレ地区の顔となったセレクトショップです。マレ地区は日本人観光客にもおなじみで、石畳の道や建造物の古めかしい町並みを歩くだけでも昔の時代へトリップしたかのような地区です。一方、流行に敏感なパリジャンやパリジェンヌが通うショップやカフェも多く並びます。いまやマレの顔となったメルシーは、オーナー夫婦がそれまでに経た出会いへの“Merci.(ありがとう)”の気持ちから生まれたセレクトショップです。

“Merci.”の思いを、セレクトショップというスタイルで表現

オーナー夫妻は高級子ども服ブランド「ボンポワンBonpoint」の創業者です。そのブランドの発展に勤しむなか、「ファッション・デザイン・インテリア用品の分野の最良のものと、人々を温かく迎え入れるイートインスペースがひとつになった場所がパリにはない」ことに気づきます。有名ブランドの創業者としての社会への使命感から、雇用を生み出し若手クリエイターにチャンスの場を生み出そうという思いもありました。メルシーの最大の特徴は、企業株主の投資により得られた利益を、マダガスカルに回していることです。それは、ボンポワン製品の刺繍を委託したマダガスカルに暮らす貧しい女性や子どもへの、夫妻の以前から抱いていた想いの表れだったのです。

人の繋がりや物へのこだわりが光る、社会派セレクトショップ

メルシーには「A.P.C.」「Marni」のショップのほか、地下のガーデンで育てた食材を使った料理を食べられるカンティーヌ(食堂)、古本を読めるカフェやインテリアショップがあります。館内にはモダンかつ居心地のいい空間が広がっています。ちなみにこの空間も、クリエイターによってデザインされたそうです。言うまでもなく、私たちの身のまわりにあるものはすべて誰かの手から生み出されたものです。そのことをあらためて実感しながらこだわりの商品をひとつひとつ手に取る時間は、ショッピングが楽しいパリならではの喜びのひと時です。社会貢献型のセレクトショップ「メルシー」で見知らぬ人も自分も幸せになれる買い物を、ぜひ体験してみてください。