まずはパリでモネの「睡蓮」を観て下準備

パリから日帰り旅行に行く前に、まずは行ってもらいたいのが、コンコルド広場にほど近いオランジェリー美術館です。ルーブル、オルセー、ポンピドーなど有名美術館が居並ぶパリで、何度かパリを訪れないと行きにくい美術館ですが、なんと言ってもオランジェリーには、日本人が大好きなモネの大作「睡蓮」があるのです。印象派を代表する画家で「光の画家」と称されています。浮世絵の収集家であり、奥様のカミーユに着物を着せた作品「ラ・ジャポネーズ」(米・ボストン美術館収蔵)は、あまりに有名ですよね。当時パリでは日本ブームだったわけですが、43歳でまだ貧乏だったモネは、新しいモチーフを探していました。その時に見つけたのが、人口わずか300人のシヴェルニー村です。美しい緑が、日の光を浴びてきらめいていたのでしょう。その村は、若いころから絵の指導を受けてきた師匠の故郷のすぐそばでした。

パリから日帰り〜絵になる風景を探し求めて(モネ編) パリから日帰り〜絵になる風景を探し求めて(モネ編)

モネの住んだアトリエに行く

モネの師匠ブーダンは、「空の王者」と称される画家で、フランス画壇の重鎮となっていました。彼が若いころからモネにすすめていたのが、「外で絵を描く」ことです。美しい自然をありのまま描くこと。シヴェルニー村に移り住んだモネが真っ先に取り組んだことは、日本をイメージした庭園造りです。そこには花や草が生え、池があり、鯉が泳ぎ、池には蓮が花を咲かせる。庭は、モネにとっての別のキャンバスになったのです。そして絵を描く。ここに「睡蓮」が誕生したのです。シヴェルニーまでは、パリ・サン・ラザール駅から約45分、ヴェルノンで下車、バスで15分です。モネの家と庭園が公開されています。モネ好きの日本人が、モネが健在だったころからこの家に、作品を買い求めに来ていたそうです。だからこそ、日本には、世界のどの国よりもモネ作品があると言われているのです。日本人は、その昔からモネが大好きだったのですね。

海と空とヨットの町に行ってみる

いったんヴェルノン駅に戻ってふたたび列車に乗って、リジューまで行き、リジューからバスで1時間。英仏海峡に面した港町がオンフルールです。港に行くと、プロアマ問わず、多くの画家がキャンバスに向かって絵を描いています。絵になる町なんですね。港町は明るい。なぜなら海に反射した光が町を照らすからです。そんな天然の明るさが、多くの印象派の画家たちを魅了しました。そしてこのオンフルールは、モネの師匠、ブーダンの故郷でもあったのです。ブーダンの父親は若いころ水夫をしていました。父親と一緒に船に乗り、海と空に二分された世界を、ブーダンは深く体に染み込ませたにちがいありません。彼の作品の多くが、キャンバスの三分の一から半分が、空で占められているのです。そんな作品群をこの町にあるウージェーヌ・ブーダン美術館でご覧ください。彼の作品こそが、モネの睡蓮を導いた水先人のような気がしてきます。