飛行機の遅延で乗り継ぎできず。さてどうする?

北アフリカのチュニジアからパリに飛行機で戻ってきた時のことです。飛行機が2時間も遅れてしまって、日本行きの便に乗れなくなってしまったのです。折しも夏休みで、団体、個人を問わず、計40名近い人たちが空港で途方に暮れていました。乗り継ぎカウンターには長蛇の列ができています。僕はこの時、14名のお客様を率いる添乗員をしていました。先に並んだ日本人の男性は、対応する女性職員に、怒声を上げて訴えています。「明日の便では、会社に間に合わないじゃないか。どうしてくれるんだ!」。焦り、緊張、いら立ちが頂点に達しているようです。しかしいくら怒っても、日本行きはもう出発してしまっています。どうしようもありませんよね。怒る日本人男性に、女性職員は露骨に嫌な顔を見せています。「明日の便が用意されていますから、明日お越しください」。彼女の対応は、男性の態度に比例するように、冷たいものでした。

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こんな場合、みなさんならどう考えますか?

こんな場合、どうしたらいいのでしょうか。「日本では考えられない対応だ!」、「これだから外国は困る!」、「やっぱり日本がいいね」など、つい考えてしまいがちですが、せっかく海外旅行を楽しみに来ているのに、もったいないとは思いませんか? 日本以外の国に来て、自分の考えや習慣に合わないからと文句を言っても、得るものなど何もありません。第一、楽しくありません。せっかくお金を貯めて、楽しみに来たのですから、ピンチでも楽しんでみるのです。こういう場合は、まず確定事項を受け入れ、航空会社にどうして欲しいか考えてみるのです。

こちらが紳士的なら、相手も相応の対応策を考えてくれるものです

態度はあくまで紳士的に。冷静で静かな口調が好まれます。この時僕は、こんな風に話を持っていきました。「わかりました。明日、指定の時間までにお客様を連れて、空港に戻ってきます。ところで宿泊のホテルは用意して下さるのですよね」。僕は当然のことのようにたずねました。「はい。ご用意させていただきますが、何部屋ご入用でしょうか?」女性職員はどこかに電話をかけ、僕は部屋数をメモ帳に書いて渡しました。「だいじょうぶです。お部屋はご用意させていただきました」。彼女がホッとした顔を見せるのもつかの間、僕は次の手に打って出ました。「明日の午後までとなると、今晩の夕食と、明日の朝食、昼食も必要になるのですが」職員は、ニヤリとします。「そうくるか」といった表情です。

困ったことが、うれしい結果になることもある

僕もあえてニコニコしています。職員は、どんな対応をしようとも、彼女自身が損をすることなどありません。感情的に不満をぶつけられた時が一番嫌なものだと察します。こうして僕は、結局一人当たり15ユーロ分のホテル内レストランクーポン券と、朝食券をゲットしました。昼食まではさすがにやんわり断られました。お客様には、次の日の午前中、パリ中心部まで地下鉄でお連れして、半日観光を楽しんでいただきました。お客様はみなさん、大喜びです。おかげで僕は、お客様たちから感謝のチップまでいただいて、これぞまさしく災い転じて、福となすです。ちなみに怒っていた男性は、自分でホテル代を支払い、泊まったようです。もちろん海外旅行者傷害保険で補償されることも教えてさしあげました。