もとは、庭を見渡すベランダだったのを、鏡の間に改築
もとは小さな狩猟用の別荘だったベルサイユ宮殿
ベルサイユ宮殿といえば、世界でもっとも美しい城のひとつ。49年かかって建築された、総部屋数700という大きな城ですが、初めは太陽王ルイ14世のお父さんにあたるルイ13世が狩猟に利用していた小さな城でした。城の入り口から見える、レンガ作りの質素な城がそれで、ルイ14世はその周りを囲む形で自分の新しい城を建てました。そして、お父さんのルイ13世の城にはプライベートスペースである寝室と仕事場を作り、新館のほうには有名なガラスの間など接待用のサロンを作りました。
もとは狩猟のための小さな城があったことから、ギリシャ神話の狩猟の女神ディアナの彫像が飾られています
フランスで初めて定住した王様、その意図は?
以前のフランスの王様たちは定住せずに、夏はロワール川のお城、秋はベルサイユで狩猟と旅ばかりしていました。しかしルイ14世は、絶対王政を築くためには定住地が必要と察し、ベルサイユ宮殿に定住することにしました。それだけでなく、フランス各地の貴族を呼び寄せ、年中、城内に住まわせます。そうすることで、貴族たちの行動を逐一見張り、反乱を妨ぎ、フランスを国家として統一することに成功しました。
「王の寝室」がある旧館はレンガ造りの質素な建物。こちらから街が見渡せます
エチケットはここで生まれた!
エチケットというのはフランス語で「宮廷や公式の場での作法」のことですが、現存するヨーロッパの宮廷の礼儀作法も、このベルサイユ宮殿で発明されたということ。毎日、王とフランス中の貴族たちが一緒に生活する、そんな共同生活の中で生まれたものです。王様が朝起きると、靴下をはかせて髪を梳かすことにも儀式があり、その役割を与えられることは、貴族にとって大きな栄誉だったとか。旧館の「王の寝室」では、こんなプライベートな生活を感じることができます。
でも、当時のフランスには大きな鏡を作る技術がなかったので、イタリアのベネチアから鏡職人を呼び寄せ、ようやく、鏡を作る工場がフランスにもできました
ルイ14世以降は衰退する一方だったブルボン王家
レセプションが行われる「鏡の間」は、庭園側の窓から射し込む自然光を鏡に反射させて、明るい空間を作るようにと考案されました。ベルサイユ宮殿の建築に使われている素材はすべてフランス製で、ある意味で、外国にフランスの産業レベルを宣伝し、注文してもらうためでもありました。しかし、ルイ14世の子孫には、彼ほど手腕家の王様はあらわれず、その死後、ブルボン王家は衰退し、フランス革命へとなだれ込みます。
優れた戦略家でもあったルイ14世
【関連情報】
■ベルサイユ宮殿
アクセス:地下鉄Invalide駅からRER線Bに乗り、Versaille rive gauche下車、徒歩約15分。
下記のサイトで自分で入場チケットを予約できます。
http://www.chateauversailles.fr/jp/
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