生前はほとんど評価されなかったピロスマニ

「放浪画家ピロスマニ」の後編です。さて、「百万本のバラ」の歌詞の真偽はともかく、ピロスマニはゴッホのように、生前はほとんど評価されていませんでした。彼の絵を注文するのは、金持ちのパトロンではなく、町の居酒屋や商店の主人たち。彼らに頼まれて看板を描いたり、肖像画を描いたりするのが彼の日課でした。1916年に1日だけの個展が開かれますが、来場者はたったの80人だったといいます。晩年、モスクワの画壇で彼に注目する人が現れて一瞬トビリシでも注目されますが、新聞に掲載された酷評に機に、人々はピロスマニに冷たく当たるようになります。貧困の中、1918年に彼は亡くなりますが、翌年には回顧展が開かれるなど、やはりゴッホ同様に亡くなってから急に注目されるという、名声とはほど遠い人生でした。

映画もリバイバル! ジョージア(グルジア)の放浪画家ピロスマニを知る 後編 映画もリバイバル! ジョージア(グルジア)の放浪画家ピロスマニを知る 後編

映画の中のピロスマニ

今回、リバイバル上映される映画は、ピロスマニの画風を意識した、プリミティブで素朴、そして彼の孤独を現した絵画的な画面構成が特徴です。どのシーンも一枚の絵のような構図で、たとえ奥行きがあっても平面的に見えます。「スタンダードサイズ」という昔のテレビと同じサイズの画面も、今となっては新鮮に思えるでしょう。出てくる町並みと人々の服装は見ものです。映画が撮影されたころのトビリシの町は、きっとピロスマニが生きていた時代とそう変わらなかったかもしれません。また、たとえ人々に認められなくても、プライドを持って絵を描き続けた彼の姿は、当時の共産主義政権の中で生きる芸術家の理想だったのかもしれません。

トビリシのナショナル・アート・ギャラリーへ

1ピロスマニの絵画は、10年に1回ほど日本にもやってきますが、実物を見るチャンスはなかなかありません。海外の美術館もあまり収蔵していないので、一番確実に見られるのは、やはりジョージアのトビリシにあるナショナル・アート・ギャラリーでしょう。私が行ったのは10年近く前ですが、その時はまだ国立美術館のほうで常設展示されていました。そこでは部屋には私以外誰もいないという、最高の環境でピロスマニに向き合えました。展示されていたのは十点程度だったと思いますが、代表作の『キリン』はありました。『女優マルガリータ』もこの美術館収蔵です。

ピロスマニを見に行く旅でもいい

また、私は行った事がありませんが、ピロスマニの生家があるシグナギにもピロスマニ美術館があるそうです。ジョージアにある彼の絵は現在も海外を巡回しているので、必ずしも見たい作品が見られるとは限りませんが、どれかの作品に出合えることはまちがないです。ジョージア(グルジア)に行ったら世界遺産の教会見学もいいですが、ピロスマニも忘れずに見てください!