ワーグナーの歌劇のみ上演する音楽祭

クラシック音楽好きならその名を知らない者はいないのが、ドイツの「バイロイト音楽祭」でしょう。これはワーグナーの作品のみを演目とする音楽祭で、そのチケットの入手困難さでも知られている、非常に“敷居の高い”音楽祭です。バイロイトがあるのは、ドイツ南部に位置するバイエルン州。19世紀後半、音楽家のリヒャルト・ワーグナーはバイエルン国王ルードヴィヒ2世の援助を受け、このバイロイトの地に自身による楽劇のみを上演する劇場を建設しました。ワーグナーが活躍した時代は、それまで多くの国に分裂していたドイツがプロイセンのもとに次第に統一され、強国に発展していく時期でもありました。つまり、“ドイツ”としての国民意識が芽生えて行った時代だったのです。

ワーグナー自身が自らの作品を上演するために計画をした ワーグナー自身が自らの作品を上演するために計画をした

2017年の演目は? そしてツアーはあるの?

このバイロイトの劇場は1876に完成し、多くの国賓を招いて大作『ニーベルングの指輪』が上演されます。しかし初演の評判は良くなく、大赤字でした。しかしワーグナーの死後も断続的に音楽祭は続けられ、1950年代以降はドイツを代表する音楽祭に発展していきました。まれな例外を除き、今でもこの歌劇場では年に1回、ワーグナーの歌劇のみ上演されています。2017年の演目は、『ニーベルングの指輪(全4部作)』はもちろん、『ニュルンベルクのマイスタージンガー(新演出)』、『パルジファル』、『トリスタンとイゾルデ』を加えた全7演目が上演される予定です。この時期に合わせて、全演目を鑑賞する10〜11日間の日本からのツアーも催行されますが、7夜のチケット代込みでお値段は100万円以上。他にも『ニーベルングの指輪(全4部作)』のみ鑑賞、他の3演目のみ鑑賞のコースもあり、それなら60〜70万円台からのツアーになります。

会場となるバイロイト祝祭劇場 会場となるバイロイト祝祭劇場

音楽祭のチケットが買えるようになるまでは6年かかる?

高額のツアーですが、それもこのバイロイト音楽祭のチケットを手に入れるのが至難の技と聞けば納得するかもしれません。個人でチケットを手に入れるには5〜10年かかかると言われているからです。抽選もありますが、毎年毎年申し込みを続けると向こうの事務局がこちらを認知し、それからようやくチケット購入権を与えてくれるというのです。行った方のブログなどを見ると、人によるのですが6年ぐらいは必ずかかるのだそうです。ということは、今から申し込みを始めても返事が来るのは6年後‥。ずいぶん気の長い話ですが、ファンならばそこまでして苦労して手に入れたチケットなので、当たれば頑張ってでも行きたいですよね。でなければ、チケットが保証されているツアーで行くのが良いでしょう。

傑出したバロック様式の美しさをもつ、バイロイト辺境伯歌劇場 傑出したバロック様式の美しさをもつ、バイロイト辺境伯歌劇場

長時間にわたるオペラ鑑賞は至福の時間?

バイロイト音楽祭の鑑賞マナーですが、正装が望ましいとされています。が、民族衣装や着物で参加される方もいらっしゃるようです。ただし劇場内は真夏にもかかわらずエアコン設備がないので、かなり暑いそうです。また、イスは硬い木で、座っているとお尻が痛くなるとか。これは居眠りを防ぐために、ワーグナーがわざとそうしたとも言われています。劇場にはロビーがなく、1時間の休憩時間は外に出ることになります。『ニーベルングの指輪』は第1夜以外は全3幕ずつ、4時間超えなので、休憩入れると毎日6時間、この劇場に足を運ぶことになります。それを苦行ととるか、至福の時間ととるかで、あなたのファン度が試されるかもしれません(笑)。
公式ページhttp://www.bayreuther-festspiele.de/fsdb_en/index.htm

今なお世界中にファンがいる、リヒャルト.ワーグナー 今なお世界中にファンがいる、リヒャルト.ワーグナー