- Kei Okishima
- ライター。早稲田大学第一文学部卒業。ドイツには高校時代に国際ロータリークラブ青少年交換留学でバイエルン州に一年間、大学時代に交換留学でベルリン自由大学、フンボルト大学に一年間留学する。その後ドルトムント大学にてジャーナリズム学科を専攻。現在はフリーライターとしてヨーロッパを中心に活躍中。
出発エリアをに変更しました。
取れたての新鮮野菜は並んでいるだけで美術品のように美しい
土曜の朝、ベルリン・コルヴィッツ広場には普段よりもゆっくりと起きてやってくる家族連れやカップルで賑わう。この付近はベルリンの中でもカフェが多く立ち並び、朝食を楽しむのに最適な場所だ。ゆっくりと朝食を取ったあと、散歩がてらに訪れたいのが朝市。
パンも種類が豊富。頼めば試食をさせてくれるところが殆ど
コルヴィッツ広場には毎週土曜日朝市が立つ。しかし普通の朝市とは一味違う。ここは自然食材専門の朝市なのだ。ここにお店を出すには厳しい審査がある。ドイツでは昔から環境に対する取り組みが他の国よりも進んでいるが、自然食品や天然素材に対するこだわりを持つ人も多い。街中でも自然食品のお店は多く存在し、パン屋でも粉からこだわって作っているお店や、普通のスーパーでも「BIO」と表記された無添加の商品は人気がある。この朝市では新鮮な野菜や果物は勿論のこと、花、ケーキ、蜂蜜、パン、肉、魚などの食糧や、化粧水、靴、洋服なども売られている。
食材以外にもこだわりの布や洋服、カバンや木の器も売られている
天然食材は見ているだけでも気持ちがいい。野菜は赤や緑の色彩が強く、根菜のくすんだ土の色と混ざると、そこに豊かな畑を想像させる空間が生まれる。あまり火を通さずにそのままの味を楽しみたい。新鮮さはどの商品からも見て取れる。野菜の隣からは摘みたての花の香りが、そしてその横からは焼きたてのパンの匂いが漂い、歩いているだけでも幸せな時間が流れていく。パンも一度食べてみると違いが分かる。普通のパンよりも粗めの粉が香ばしさを引き立て、何もつけなくても美味しく食べられる。しかしパン屋の前でやさしい匂いを漂わせる蜂蜜屋や、ジャム屋が目に入ると、あれを付けて食べたらどれだけ美味しいだろう、とまた足が次のお店へと向かってしまう。
ラウツ氏のケーキは午前中に売り切れてしまうこともよくあるので注意!
中でも特に人気なのがケーキ屋のLautzPatisserie(ラウツ・パティスリー)。マイスターブリーフ(マイスター試験に合格した者に与えられる証明書)が飾られた小さな屋台には、いつ通りかかっても行列が絶えない。それもそのはず、ラウツ氏はお店を持っていないため普通に購入する場合は朝市を狙うしかないのだ。製菓マイスターの資格をもつ彼は世界の一流ホテルで修行を積み、その経験の果てに生み出したケーキは見ているだけでも美しい。着色料を一切使用していないケーキなのに信じられない程色鮮やかで宝石のように輝いている。カロリー控えめでヘルシーなのに十分な甘みが嬉しい。通常ドイツのケーキというと菓子パンの延長のような食べ応えのあるものが多いがラウツ氏の作るケーキはフランス風でちょっと珍しい。そのため友人の家にもっていくお菓子としても人気があり、カシス・オレンジ・マンゴー・木苺など、一つずつ全種類買い占めて行くお客さんも珍しくない。どれも気になってしまうのは私だけではない模様。またこの朝市のスープには定評があり、スープ目当てにやってくる客が目立つ。トマトスープ(2,50ユーロ)や豆のスープ(ソーセージ付き2,80ユーロ)は寒くても暑くても、これまた行列の出来るお店。このオーガニック朝市は午後4時までやっているので、どこかで時間を見つけて訪れたいスポットである。
■ Oekomarkt Kollwitzplatz(エコマルクト・コルヴィッツプラッツ)
住所:Kollwitzplatz, 10435 Berlin
開催時間:土曜日9:00〜16:00
アクセス:地下鉄2番 Senefelderplatzから徒歩5分
※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2008/03/26)
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