- Kei Okishima
- ライター。早稲田大学第一文学部卒業。ドイツには高校時代に国際ロータリークラブ青少年交換留学でバイエルン州に一年間、大学時代に交換留学でベルリン自由大学、フンボルト大学に一年間留学する。その後ドルトムント大学にてジャーナリズム学科を専攻。現在はフリーライターとしてヨーロッパを中心に活躍中。
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オリジナルの「ベルリンの壁」破片。オリジナルが残っているのは数少ない
11月9日、午後6時、ベルリンのブランデンブルク門前からポツダマー・プラッツを横切ってチェックポイント・チャーリーまで築かれた約2キロの“壁”が波打つように倒れていく。「ベルリンの壁」が崩壊したのは今から1989年11月9日のことだった。2009年は壁崩壊20周年 にあたる。それを記念して、今年は年明けから様々なイベントがベルリンで繰り広げられてきた。東西分裂時代、ブランデンブルク門前に立ちはだかっていた灰色の壁は、壁崩壊から1年も経たないうち瞬く間に撤去されていった。そして今、ベルリンでは20周年記念に向けて、再び壁を構築する準備が始まっている。
かつて「ベルリンの壁」によって分断されていたポツダム広場
人の丈よりも高い大きな直方体のブロックが、市民の手によって思うままに落書きされていく。直方体はベルリンの壁を象徴している。落書きされた壁は11月9日に集められ、ブランデンブルク門から南へ、かつて“壁”が築かれていた場所に沿って並べられていく。ポツダマー・プラッツ(ポツダム広場)は「分断の広場」と呼ばれていた悲劇的な場所。直方体は広場の真ん中をお構いなしに整列していく。広場から向きを東に変えてそのまま真っ直ぐ進む。交通はすべてシャットアウト。そして終着点はチェックポイント・チャーリーである。こうして整然と立てられた“直方体のベルリンの壁”は、午後6時、ブランデンブルク門からドミノ倒しによって次々と倒されていくのである。
ドミノ倒しの出発地点となるブランデンブルク門。手前がパリ広場
ドミノ倒しが終わると、ベルリンでは花火が打ち上げられる。20年前、ベルリンでは西側から東へ、東側から西へとそれぞれの市民たちが開かれた検問所を通過して行った。その喜びは丁度この花火のように大空へ舞い上がっていった。そして花火打ち上げが終わると、ブランデンブルク門前のパリ広場で野外コンサートが始まる。ダニエル・バレンボイムの指揮、ベルリン市オーケストラによるベート-ヴェンの「第九交響曲」が演奏される。これに先立ち、昼間の記念式典では世界各国からノーベル平和賞受賞者を招いて意見交換が行われる予定である。ベルリンに構築されていた壁は無くなって久しいが、世界にはまだ平和への壁が立ちはだかっているからだ。
ドミノ倒しの終着地点となるチェックポイント・チャーリー。物々しかった検問所も今では記念の小さな小屋しかない
「ベルリンの壁崩壊」は単に西ベルリンと東ベルリンが、あるいは西ドイツと東ドイツが統一しただけでなく、一つの時代の終焉であった。世界中が東西冷戦時代の終りを喜び、祝福した。11月9日は外国からも応援がくる。フランスからは操り人形劇団が駆けつけ、パリ広場でマリオネット劇が予定されている。17メートルもある巨大な人形たちだ。最大のイベントは夕方。世界中の人々の更なる平和祈願を込めて、もう一度、壁が倒される。かつての壁跡に立つ直方体は延々2キロも連なっている。この大がかりなドミノ倒し、見逃してはならない。 11月にドイツ旅行を計画しているなら、是非9日にベルリンへ入ってドミノ倒しを見学しよう!
■壁崩壊20周年記念イベントに関して
http://www.mauerfall09.de (ドイツ語・英語)
※11月9日以外にも、さまざまなイベントが予定されているので
要チェック。
※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2009/09/25)
※旅行前には必ず、外務省の海外安全ホームページで訪問地の安全情報についてご確認ください。
※この記事はガイドレポーターの取材によって提供された主観に基づくものであり、記事は取材時時点の情報です。
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