ベルリンの博物館の白眉「ペルガモン博物館」

ベルリンのシュプレー川の中州に建てられた世界遺産の「博物館島」には、5つの博物館が集合しています。ベルリンには見ごたえのある美術館や博物館が数多くありますが、この博物館島にある「ペルガモン博物館」ははずせません。この博物館は、古代(ギリシャ・ローマ)遺跡部門、イスラム部門、古代オリエント部門に分けられ、巨大な祭壇や門など、大規模な遺跡を収蔵しているのが特徴です。日本語の解説のオーディオガイドが無料で借りられるので、じっくりと解説を聞きながら、古代文明の時代に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

ヨーロッパで楽しむ東洋美術 その3「ベルリン・ペルガモン博物館」 ヨーロッパで楽しむ東洋美術 その3「ベルリン・ペルガモン博物館」

博物館の名前にもなったペルガモンの遺跡

コレクションの目玉は、古代ギリシャのペルガモン(現・トルコのベルガマ)から発掘された紀元前2世紀の「ゼウスの大祭壇」です。19世紀のドイツ軍の遠征によってドイツにもたらされたこの祭壇には、ヘレニズム期の彫刻の最高峰といわれる、ギリシャ神話の神々と巨人族との戦いを描いた100メートルにも及ぶ緻密なレリーフが刻まれています。祭壇中央の階段は、実際に私たちも登ることができ、座って休憩している人もいます。2200年前の遺跡に座ることができるなんてビックリですね。

古代バビロニアの「青」に酔う

館内のもうひとつの目玉は、古代オリエント部門の「イシュタール門」です。この巨大な建造物は、紀元前6世紀の古代バビロニアの古都バビロン(現・イラク中部)の中央入口の門を復元したもので、ラピスラズリのような深い青い色のレンガの壁に、牛や馬、想像上の動物の姿が描かれています。 門へと続く通りには青い壁にライオンが描かれ、このライオンたちの歩く姿がまた堂々として美しいのです。実際のバビロンの通りには、このライオンが120匹並んでいたそうです。19世紀末から20世紀初頭にかけて、ドイツ隊がばらばらになった断片を発掘し、600箱分を持ち帰って復元しました。

この世から消えていたかもしれない遺跡

私は、遺跡は本来、もともとあるべき場所で修復・保存されるべきだと思っています。アンコール遺跡の天女アプサラ像がパリにあったら、その天女は天女ではなくなってしまう気がするし、ロンドンにあるパルテノン神殿の彫刻も同じです。でも、バビロンの遺跡のあった現在のイラクの状況を考えると、この美しい青いレンガが戦争によってこの世から消えずに、遠く離れたドイツで復元され、私たちがいつでも見ることができるのは幸いだといえるでしょう。見どころのたくさんあるベルリンですが、是非多くの人にこの美しいバビロニアの遺跡を見てほしいなと思います。