- 神谷
- 東京都在住。漫然とさすらっていた学生時代の旅から、テーマのある旅へとスタイルが移りました。現在は「その国と日本とのつながり」を頭に置いて旅をしています。地を這う旅からリゾート、自然観察、文学、アート、建築を追う旅までなんでもテーマにして書きます。旅と同じくらい文章を書くのが大好き。お楽しみに!
出発エリアをに変更しました。
学生寮のベランダはチャレンジング。かなり怖い……!(もちろん立ってみましたが)
「バウハウス」。口にするだけでときめくこの言葉。この造形芸術学校は、20世紀のアート・デザイン界最大のエポックメイキングといえます。移転を重ねたバウハウスの中でも、町全体がバウハウスの美学と密接に関わっているデッサウは、アート好きにとって“巡礼”の地。私もベルリン中心部から特急列車に乗って約2時間、長年の憧れデッサウに行ってきました(バウハウスの概要については「おさらい編」をどうぞ)。
フルーツたっぷり、カフェの新鮮なランチ
デッサウ校では、校舎の見学ツアーが行われています。ドイツ語ツアーは毎日2回ずつありますが、英語ツアーは金曜日の12時からのみ。日本語オーディオガイドもありますが、ツアーでしか入れない場所があるのでできればツアーに参加したいところです。私は英語ツアーを狙って行きました。まず併設カフェで早めのランチ。レモネードやケーキなど、素朴ながらとてもおいしいですよ。
配管はわざと見せるようにデザインされています
英語ツアーガイドさんは、現在も実験的教育機関「バウハウス・コレーグ」で建築を学んでいる学生さんとのことでした。1時間ほどのツアーの間、休みなく説明をするその口調の熱心なこと! 彼自身が、まずバウハウスのファンなんだなと思い知りました。そして参加者もどんどんバウハウスの世界に引き込まれ、誰もが大ファンになってしまうというツアーでしたよ。その理由は、360度、どこに目をやってもバウハウスのエッセンスがあふれているから。配管ひとつ、階段の手すりひとつに至るまで、モダンでカッコよくキマっているんです。こればかりは行ってみないと実感できない感覚です。
ティーポットは使いにくそうにも見えますが、さて?
ツアーでないと入れないのは、校長室、学生棟、講堂です。校長室は初代校長グロピウスが執務していた部屋。ガイドさんは「ここで問題です。グロピウスは、この立派なソファとこちらの金属の椅子、どちらが好きだったでしょう?」。ソファは来客に使わせ、自分はシンプルなデザインの椅子の方を好んだそうですよ。この部屋の飾り棚に陳列されているオリジナルのティーポットなども必見。今ではネット買いもできるそうですが、“聖地”で見るオリジナルは貴重さが違いますよね。
こんなふうに向かい合っています
校舎は先生たちが講義をしていた芸術学校(本部棟)と、学生のための職業訓練学校の二棟が対になって建てられていますが、学生のいる方はより簡素なつくりをしており、本部棟の方は凝ったつくりをしています。学生たちは、真向かいに建つガラスの美しい本部棟を見ながら、自分たちもがんばろうと鍛錬したそうです。そう、かの有名な「ガラスのカーテンウォール」は本部棟にしかないのです。
うっとりする美しさです……
壁の一面をガラスとごく細い鉄骨だけで覆う軽やかさには、誰もが陶然と見惚れることでしょう。これを1920年代に作っていたのだから、ヒトラーにも忌み嫌われるのも道理。今ではガラスのカーテンウォールはどこででも見られますが、当時はあまりにも先進的で魅力的だったのですね。ナチスの弾圧により14年間で幕を閉じたバウハウス。デッサウ校の見学をしたら、ぜひ「マイスターハウス」の見学ツアーにも参加してみてくださいね。
見学ツアーの予約ができるホームページ
https://www.bauhaus-dessau.de/en/index.html
※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2020/12/01)
※旅行前には必ず、外務省の海外安全ホームページで訪問地の安全情報についてご確認ください。
※この記事はガイドレポーターの取材によって提供された主観に基づくものであり、記事は取材時時点の情報です。
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