ドイツ史を台所から観察。一風変わったドイツ料理本博物館

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ドイツ史を台所から観察。一風変わったドイツ料理本博物館

掲載日:2009/04/14 テーマ:美術館・博物館 行き先: ドイツ / ドルトムント ライター:Kei Okishima

タグ: 博物館 歴史



ABガイド:Kei Okishima

【ドイツのABガイド】 Kei Okishima
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ライター。早稲田大学第一文学部卒業。ドイツには高校時代に国際ロータリークラブ青少年交換留学でバイエルン州に一年間、大学時代に交換留学でベルリン自由大学、フンボルト大学に一年間留学する。その後ドルトムント大学にてジャーナリズム学科を専攻。現在はフリーライターとしてヨーロッパを中心に活躍中。

この博物館では料理に関する物をあらゆる角度から見ることができる。時代とともに変化する台所を見ていくと、その背景にある時代の移り変わりを感じる この博物館では料理に関する物をあらゆる角度から見ることができる。時代とともに変化する台所を見ていくと、その背景にある時代の移り変わりを感じる

ドルトムントにある変わった博物館

ドイツの家庭にお邪魔すると、台所の美しさに驚く。「さすがドイツ!」というような機能的で料理するのに便利な道具が棚の中に収納され、ピカピカに磨かれている。そんな台所文化を知るべく興味深い博物館が、ドルトムントの『ヴェストファーレンパーク』という公園の中にひっそりと佇む。ドイツ料理本博物館(Deutsches Kochbuchmuseum)という一風変わったこの博物館は、1988年にオープン。料理本はもちろんのこと、ドイツの台所文化を知るべく資料がたくさん存在する。

 

博物館の様子。おままごとに使用した本格的なおもちゃも並ぶ 博物館の様子。おままごとに使用した本格的なおもちゃも並ぶ

レシピだけではない!奥が深い料理の本

「料理本の博物館」と聞くと、昔から現在までの料理本がずらりと並んでいる姿を思い描くかもしれない。しかし博物館に足を踏み入れてみると、そこには料理本が意味する世界が立体的に広がっていることに驚く。実際に料理の本があるのは館内の一部だけで、その他は料理器具、台所、昔のおままごとセットなど料理に関するものが時代ごとに展示されている。今日、料理本といえば数多くのレシピを寄せ集めてまとめた本のことを示す。しかし料理本の歴史を辿ってみると、その役割が時代によって異なっていたことが分かる。初期の料理本は美味しいものを作るためにというよりは、強い身体づくりのためのレシピを伝える意味があった。現在のように豪華な料理を作るための本は19世紀になって見られるようになる。

 

料理本には女性たちが必要としている家庭内の情報が豊富に載っていた。食器をどのようにテーブルに並べるか、というのも大切なテーマであった 料理本には女性たちが必要としている家庭内の情報が豊富に載っていた。食器をどのようにテーブルに並べるか、というのも大切なテーマであった

家事の虎の巻!19世紀の料理本

とはいえ19世紀の料理本も、レシピ集というよりは家事全般における“アドバイザー”としての役割を担っていた。料理の作り方はもちろんのこと、ヨーロッパで特に重要視されるテーブルマナーや来客時のおもてなしに至るまで幅広く書き記されている。その様子は館内の展示でじっくりと鑑賞しよう。また裁縫も重要な家事の一つ。ドイツの家庭では食事の際に自分専用のナプキンを一週間程洗わずに使用する習慣がある。誰のナプキンかを見分けるために、名前入りのナプキンリングを使用するか、ナプキン自体に名前を刺繍するなどの工夫が必要。そのほかにも家庭内のあらゆるものを綺麗に縫ったり刺繍したりすることは良き妻としての誇りであった。そんな裁縫の様子も館内で楽しめる。

 

館内では台所器具がどんどん進化していった様子も見ることが出来る 館内では台所器具がどんどん進化していった様子も見ることが出来る

ドイツ女性史の移り変わり

こうして当時の料理の本を見ていると、ドイツにおける女性の姿の歴史が浮かび上がってくる。現在でこそドイツはフェミニズムの強い社会という印象が強い。しかしこの博物館が伝える資料を見てみると、100年前のドイツではいかに女性に家庭的な姿を望んでいたかが分かる。料理本が、歴史本としての役割を果たすこの博物館。台所文化を通して新たな視点でドイツ史を堪能できる貴重な場所だ。

 

【関連情報】

■ Deutsches Kochbuchmuseum/ドイツ料理本博物館
An der Buschmuehle 44139 Dortmund
電話:(+49)231 5025 741
開館時間:11月〜3月 水曜日と日曜日 10:00〜17:00、4月〜10月 火曜日〜日曜日 10:00〜17:00
入場料:無料(ただしヴェストファーレンパークの入場料2ユーロ)

 
 

※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2009/04/14)
※渡航前に必ず現地の安全情報をご確認下さい。http://www.anzen.mofa.go.jp/
※この記事はガイドレポーターの取材によって提供された主観に基づくものであり、記事は取材時時点の情報です。
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