- Kei Okishima
- ライター。早稲田大学第一文学部卒業。ドイツには高校時代に国際ロータリークラブ青少年交換留学でバイエルン州に一年間、大学時代に交換留学でベルリン自由大学、フンボルト大学に一年間留学する。その後ドルトムント大学にてジャーナリズム学科を専攻。現在はフリーライターとしてヨーロッパを中心に活躍中。
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道路に描かれたネズミは方向案内として活躍中
白いペンキが点々と旧市街に向かって伸びていく。何かのいたずらだろうか。よくよく目を凝らしてみると、そのペンキはネズミの形をしていた。なるほど、さすがハーメルン。グリム童話として日本でも有名な「ハーメルンの笛吹き男」の舞台となったのは、もちろんこの街Hameln(ハーメルン)である。ハーメルンはこの笛吹き男の伝説以外にも、古い木組みの家がいまでも美しく保存されていることでも有名だ。木組みの家には凝った装飾がなされ、町全体に「メルヘンの国へようこそ!」と歓迎されているかのようだ。
演奏禁止道路。この道を通ってネズミ捕り男が子供達を連れ去っていった
どこの国にも伝説があるが、ハーメルンではこの伝説をリアルに感じる空気が残っている。例えばネズミ捕り男が子供を連れ去った通り「Bungelosenstrasse」では、今だに音楽を演奏することが禁じられており、道路の脇にその旨注意書きがある。ハーメルンの街並が中世の町並みを残していることが更に伝説の空気を盛り立てる。まさに「絵本の一ページ、ここに有り」といったところだ。そのためこの通りを抜けるときも、なんだか背筋がぞくぞくしてしまう。
町の子供達が大活躍の野外劇。ネズミの格好をした子供達が愛らしい
この笛吹き男の様子を再現した劇が毎年5月から9月中旬の毎週日曜日12時から街の中心であるHochzeitshausの横で上演される。(野外)上演時間は30分ほどで無料で鑑賞できるが、12時近くになるともう舞台周りは人でごった返す。劇自体はドイツ語だが、上演前に日本語であらすじが語られるという嬉しいサービスがある。ネズミに扮した子供たちの姿はあまりにも可愛らしく、とても退治する気にはなれないが、ネズミ捕り男の吹くクラリネットの音色はハーメルンの街に灰色な空気を流し入れる。
この期間の毎週水曜日16時半からは同場所にて、ネズミ捕り男の話がユーモア溢れるミュージカル形式で上演され、こちらも無料で鑑賞出来る。また年間通して行われるのはネズミ捕り男の話をモチーフにした仕掛け時計だ。Hochzeitshausにて毎日3回(13:05,15:35,17:35)綺麗な音色とともに回る可愛らしい人形たひに観光客の目は釘付けだ。
ハーメルンの町並みはまさに中世。この建物は1560年に建てられた
この町のお土産にはやはりネズミが最適。町中のどこにでもネズミをモチーフにしたお土産が沢山並ぶ。その中でもお勧めはパンでつくられたネズミの人形。パン屋の小麦粉を荒らすネズミが多かったことからハーメルンのパン屋さんではネズミの形をしたパンをよく見かける。これだけネズミを沢山見かけると、憎まれていたはずのネズミが今やヒーローになったかのよう。こんな御伽噺の町ハーメルンで、もしかしたらまだ新しい物語の解釈が見つかるかもしれない。
お土産に人気のネズミパン。こちらは置物用で食べられない。但し日本に持って帰ると虫が湧くので要注意!
■ Rattenfaenger-Freilichtspiel(ネズミ捕り男野外公演)
住所:Hochzeitshaus前のテラスにて。Hochzeitshausの住所:Osterstr. 3, 31785 Hameln
観光局電話番号:(49)51 5195 78 23
上演時間:9月16日までの日曜日12:00〜、ミュージカルは9月12日までの水曜日16:30〜
参加料金:無料
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